僕の右耳の耳年齢は、実年齢よりも相当高い。僕は十分おじいちゃんだが、右耳は更に立派なおじいちゃんなんである。
専門の耳鼻科で検査してもらうと、なんと左耳はなんともない。実際の年齢よりも遥かに若いらしい。
ところが右耳は、8KHzくらいから聞こえ方が弱くなりはじめ、12KHzくらいから上は急激に数値が下がっている。
原因は若い時の耳の酷使。
レコーディングの時にヘッドフォンをかぶってモニターしていたわけだけれど、その時にハイハット・シンバルをいつも右に定位してもらっていたせいだと思う。
どんな楽器のどんな音がどのくらいの周波数なのかが一目でわかるチャートを作っている人がいるので紹介すると、各楽器の周波数は、だいたいこんな感じである。

https://hybridsoundjournal.net/blog/2016/02/29/equalizing/
この画像、小さくて見えないようなら画像をクリックして制作者のウェブサイトで見てみてね。
今の僕が丁度いいくらいにミックスしてもらうと、シンバル類がとてもでかくなり、よく聞こえている低音が少なめになってしまう。
若いときから耳栓とかで耳を防護していれば、こんなことにはならなかったかもしれない。
若いミュージシャンや音楽関係者は、現場では耳栓をしたほうがいい!!!
しかし、最近のライブ会場やレコーディングの場で最初に出てくる音は強烈である。
僕が一番忙しかったアナログ・オーディオ時代は、ミュージシャンから音をもらうときも、まずはそろそろとフェーダーを上げて徐々に音を大きくしていき、それにモニター用としてイコライザーをかけ、コンプレッサー/リミッターやリバーブを足していくというようなやり方をしていた。いきなり巨大音量が回路に入ると機材がぶっ飛んでしまうからだ。
でも、最近オーディオがデジタルになってからはどうやら「そろそろと」というのがないようだ。ミュージシャンが音を出した瞬間に、リミッターもコンプレッサーもかかっていない音がゴロンゴロンとむき出しで出てくる。これは耳に悪い。
こういう方法は、僕のようなおぢいちゃんにどうこう言われて変える必要はないが、これは耳に悪い。明らかに耳へのアタックのようだ。
若いミュージシャンや音楽関係者は、現場では耳栓をしたほうがいい!!!
耳栓無しで生の音が聞こえないとダメ、というのもわからんでもないが、今どきの音は回路で修正した上で音楽になっているのだから、まず最初の未修正の音の段階くらいは耳栓をしよう。エンジニアの修正が全楽器分終わったら、その段階で耳栓を外してもいいよ、それなら。
若い子たちに推薦できる耳栓を探そうとネットで検索をしていると、なんと「耳栓専門ページ」なるものがあった。
ここで紹介されている、音楽に使える耳栓をどんどん試してみた。
まず、楽器屋さんのレジのそばとかで一番よく見るのがこの「CRESCENDO」ブランドの耳栓。
楽器屋さんのレジそばとかで「MUSIC」というラベルの付いたこの製品をよく見かけるのでどうしてだろうと思っていたら、楽器メーカーのKORGが輸入しているからのようだ。
KORGのサイトによると、通常安く売っている一般用の耳栓と比べ、高音の遮音性が低くて耳栓を付けても音楽ができること、低減する音圧は19dB程度で、全体にマイルドな製品だ。
楽器ごとにいくつも種類があるのは、製品ごとに特性を変えているらしい。
種類がいっぱいあって「ミュージック(音楽全般)」「ダンス・ミュージック・リスナー」「DJ」「ドラマー」「ギター」「ボーカル」。なぜか「キーボード」とか「ベース」は、ないw
とはいえ、せっかく耳栓をするんだからもっとガツンと聞いてほしい、もっと音圧を下げたい、という人には、アメリカの軍も使っているという「MOLDEX」。
このMOLDEXは種類も多く、カラフルでどれを選んでいいか、わからない。
そんな人のために8種類入った「お試し版」もamazonで販売している。
MOLDEX
MOLDEXでは、各製品の周波数特性も公開していて、これを更にグラフ化した人もいる。この製品が好きなんだねw

https://www.haijin-boys.com/gadget/moldex-earplugs
「Sparkplugs」「Goin'green」「Softies」「Camoplugs」の4製品の性能は同じで、最も遮音性能が最も高い。このグラフでは水色の線で描かれている。全体的に遮音するがピークは6KHz。人の声の帯域である中音域の遮音性は少し下げてあるようだ。
それに対し、このグラフで濃いグリーンで揚言されている「Mellows」は低音の遮音性を下げていたり、グラフの薄いグリーンの「Meteors」は、500Hzに遮音のピークを持たせないように作られているようだ。
ちなみにこの製品は使い捨てである。
ここまで紹介したのはいずれもスポンジのように柔らかくて耳に入れると広がって耳の中にフィットするタイプ。だが、形がネジのようになっていて、ギリギリと、耳の中に入っていくという、いかにも効きそうなタイプもある。
これはゴム製。硬めにできていて、耳へのフィット感はとても強い。
8KHz以上の高音は明らかに減衰するので、シンバルなどの「痛い音」はカットできる。しかもこの製品は使い捨てではなくて反復使用可能。
これほど耳栓をたくさん買って、時には引き出しから飛び出てくることもあるくらいだから「耳栓はどれがいいですか?」って聞かれるんだけれど、残念だけれど「それは自分で試してみて」。
耳って耳穴の直径も様々だよね。Ear Podだって僕のようにどうしてもフィットしなくてすぐに脱落しちゃう人もそうでない人もいるくらいだ。音の好みも高音がカットされる方がいい人もいるけど僕のように高音はちゃんと聞きたい人もいる。
なので、みんなもいろんな製品を試してみてください。
amazonで「耳栓」で検索すると死ぬほど出てくるから。