ここ一年は、研究に関係する本以外は読まないで集中しようとしていたのだけれど、この正月は反動から何冊も小説を読んだ。このうち、箱根駅伝を描いた小説3冊はいずれもおもしろかった。

風が強く吹いている風が強く吹いている
著者:三浦 しをん
新潮社(2006-09-21)



まず、三浦しをん。
たまたま同じアパートに住み合わせてしまった素人10人を集めて大家を監督にして駅伝に出てしまうというお笑い小説。これが実におもしろい。
三浦しをんは、女性を主人公にすると暗くておどろおどろしい小説になるのだが、主人公が男性だといっつもいいなぁ。なんか、力が湧いてくる作品。

冬の喝采冬の喝采
著者:黒木 亮
講談社(2008-10-21)


ビジネス小説で有名な作家だけれど、早稲田では瀬古の時代に箱根駅伝にもでたことのあるランナーだったんだそうだ。著者自身の高校、大学時代のトレーニング記録をもとにしたノンフィクション。ノンフィクションとはいっても作家の作品だから、登場人物の心理を深く追っている。外からでは窺い知れないランナーの気持ちを追った秀作。

ところで、僕はランニングはするけれど、箱根駅伝には全然興味がない。集中力がない方なので、テレビで二日間11時間以上にわたってひとつのドラマを見続ける事ができないのだ。かといって、部分部分を見ていても全然面白くないので、見ないことにしている。
そもそも駅伝なんて日本でしかやっていない。ここでいくらがんばっても世界には通用しない(このあとで紹介する『チーム』p114から)。スポーツ界のガラパゴス、なんである。
関西の人はあまりみないと聞くが、東日本のお正月2日と3日はこの番組の占拠率が異様に高い。とくに、今住んでいる長野県には佐久長聖高校という、数多くの一流長距離選手を輩出している高校があるせいか、この県では正月明けの話題の中心は箱根駅伝だ。今年の大会にはこの高校の出身者がなんと11人も出ているのである。

というわけで、次に紹介するのは

チーム (実業之日本社文庫)チーム (実業之日本社文庫)
著者:堂場 瞬一
実業之日本社(2010-12-04)


堂場瞬一の作品である。この小説の主人公も長野県の高校の卒業生だというから、佐久長聖あたりをイメージしているのだろう。
予選落ちしたチームから選抜される「学連選抜チーム」がこの小説の舞台。この中に一人、個人の才能はピカイチだがチーム力が足りずに箱根駅伝には出られなかった天才選手が登場する。彼は、「箱根駅伝は関東の大学しか参加していないローカル大会なのだ。メディアの宣伝で世間では学生スポーツの代表的な大会のように思われているのだが、たいしたことはない」と考え、卒業後に実業団チームで迎える初マラソンの調整くらいにしか考えていない。
実は僕も全くそのとおりに思っていて、なんだか箱根駅伝には熱中できない。

箱根駅伝にはあまり興味はないが、この三冊の小説はいずれも大変おもしろかった。お正月の小説読書、成功である。