今日は、うれしいニュースがある。

ウィニー開発者の無罪確定へ=ほう助罪の成立認めず−検察側の上告棄却・最高裁
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2011122000730&rel=m

ウイニー開発者の金子さんは、2004年5月10日、著作権法違反幇助の疑いにより京都府警察に逮捕され、5月31日に起訴されているので、無罪確定までに7年以上かかったことになる。

この逮捕劇は、日本のインターネットのあり方を根本的に変えてしまった。
ウイニーの技術というのは、ものすごく高度なものなんだそうである。
この技術がすくすくと育っていれば、ピア・トゥ・ピアという領域が花開く可能性もあったのに、その芽を摘んでしまった。
一方、ウイニーなんかよりもよほど著作権侵害のおそれが強いYouTubeに関しては野放しにした。
野放しにしてくれたお陰で、われわれは今でもYouTubeで他人がアップロードしたビデオを十分に楽しむことができる。5年前は批判的だったレコード会社や映画会社も、いまやYouTubeを活用してプロモーションを行なっている。
YouTubeも、しくみをどんどん変えて、関係者がハッピーになるようにがんばった。
ウイニーが健全に育てば、ひょっとしたら、今のYouTubeの地位はウイニーがとっていたかもしれない。

日本では、なにかやると警察に捕まっちゃうかもしれない。でも、アメリカでならアメリカの警察は何も言ってこないし、日本の警察も手を出さない。だったら、そんな危ないことを日本でやったら自分も捕まっちゃうかもしれない、と、日本のプログラマーたちに思わせるのに十分な逮捕だった。

ジェフ・ジャービスは『パブリック―開かれたネットの価値を最大化せよ』の中で、シリコンバレーの文化は「ベータ版文化」だと言った。
必ずしも完成品ではなくても、まだまだいい加減な段階で世に出してみんなの評価をもらおう、というのがベータ版文化だ。
確かに、2004年当時のウイニーの技術は、危なっかしいものだったかもしれない。でも、それは後々修正が加えられてすばらしい物になる可能性を秘めたベータ版だったのである。
世の中はどんどん変わっているのに旧態依然の、マスプロダクツ時代の価値観でベータ版のような危なっかしい物を敵視し、捕まえていくのがこの国なので、この国からは、ネットに関わる新しい技術は出てくるわけがない。みんな、捕まりたくないからね。

金子さんが無罪ということになったのは大変喜ばしいけれども、日本がこういう国なんだよということはもう消せない事実になってしまった。たとえば、今更ウイニーを進化させていくのは難しいでしょう。また捕まっちゃうかもしれないからね。

金子さん、おめでとう。
でも、この国が失ったものはあまりにも、大きい。

金子さんは広告関係のウェブ・プログラミングもやっていたようで、僕の周りには金子さんと仕事をした人が何人もいる。これを読んでいて、いまでも金子さんとお付き合いのある方がいらしたら、僕からも「おめでとう」とお伝えください。