晴れ。

20111230


今年のテレビの世界の大きな話題の一つに「ドラマ『家政婦のミタ』最終回の視聴率40%超え」がある。
この成果のウラに、リサーチャーの存在があることはあまり知られていない。
この番組には、喜多あおいさんという、たいへん優れたリサーチャーがいた。

ドラマにおけるリサーチャーの役目は、番組にリアリティを出すこと。
 ”40男が指定する待ち合わせの場所として、ここは適切なの?”
 ”気取ったバーで36歳独身女がこんなもの注文するって、なんか変じゃない?”
 ”越谷に住んでる16歳おバカな女子高生が気合の入ったお買い物をしに行くのはやっぱりマルキュー?”
こういう、一見つまんないことが生活感覚と異なると、なかなかドラマに入り込んでくれない。
「あるある」じゃなくて「なんか、ウソくさい」となってしまって、人がどんどん離れていってしまう。結果、視聴率が取れない。

ドラマの視聴率の取れ方で一番望ましいのは、だんだん視聴率が上がっていくこと。
第一回の数字は、出演者のキャスティングでほぼ決まってしまう。
「キムタクだから絶対見る」と言っている人は、少なくとも第一回は見てくれる。
ワタクシは、「次世代のエリカ様」戸田恵梨香さまの出演するドラマなら絶対見るね。
この第一回がダメだと翌日カイシャや学校、最近は見ながらネットで酷評することになり、どんどん視聴率は低下していく。
評判が評判を呼んで、だんだん数字が上がっていくのが、望ましいのだ。
これに大きく関わるのが「リアリティ」である。
「あんなことゼッテーありえねぇ」と思われちゃったら、いい評判なんか取れない。

『家政婦のミタ』のリサーチを担当した喜多あおいさんの本が出た。


プロフェッショナルの情報術 なぜ、ネットだけではダメなのか?
プロフェッショナルの情報術 なぜ、ネットだけではダメなのか?
喜多あおい・著 祥伝社・刊

『家政婦のミタ』ばかりでなく、最近では『マルモのおきて』とか、『フリーター、家を買う。』などのリサーチを担当している有名リサーチャーである。
彼女は、『なるほど・ザ・ワールド』などのクイズ番組のリサーチから入り、『行列のできる法律事務所』『SMAP SMAP』など、つねに10本から20本の番組からの依頼を並行してやっているそうだ。

ドラマの世界でリサーチの重要性が取りざたされたのは『ハケンの品格』だったように記憶している。
このドラマの原作はマンガだったんだけど、マンガならぶっ飛ばしても大丈夫なリアリティが、実写ともなるとそうはいかない。実際にハケンで働いている労働者のみなさんにとってリアリティのあるプロットの積み重ねじゃないと「インチキ」感を出すだけになってしまう。
『ハケンの品格』のシナリオにも演出にも、この、リサーチに基づいたリアリティがあったからこその高視聴率だったので、これが評判になったのだ。
これも喜多さんの仕事。

喜多さんは、この本で試行錯誤して編み出したノウハウを惜しげもなく披露している。
「集める」「仕分ける」「使えるように加工する」といったノウハウも、1日10冊の本を読む方法も、読んでおくべき本も、Evernoteの使い方も、情報に敏感になれる習慣も、教えてくれる。
「まずは図書館」とか「ネットで何とか……」が通用しない理由も教えてくれる。
「まず最初にウィキペディア」っていうのがどんなにキケンなことなのかも教えてくれる。
メモやノートの取り方は、くどいほど何度も出てくる。

とんでもなく、役に立つ本なのである。
これで1470円とは、安すぎる。

我々の仕事は、プレゼンするにしても、事後報告のレポートを書くにしても、仕事の時間の大部分を調べ物に費っている。これを効率化して、より深く広く詳しい調べ物ができるようになったら、ワタクシなんかすごいことになっちゃうぞ(笑)。
少し前に「××勉強法」なんていうのが流行したけれど、勉強法にもそのまま使えるよ。

さっ、ワタクシは早速この方法を使って、論文の下調べをするのだ。