シンガポール。
晴れ。

20140212


会社の会議でシンガポールにいます。
晩ご飯の時に、会社のアメリカの幹部と話していたらこんなことを言われました。


アリシア「『リーン・スタートアップ』っていう本がシリコンバレーではすごく流行っているけど日本ではどう?」
でにす「翻訳版も出て、日本語版の監修をMITメディアラボの伊藤穰一さんがしていることもあって、ITの人たちには読まれていると思う」
アリシア「そもそも『リーン・システム』という考え方は、アメリカ人がトヨタの生産システムを取り入れようと思って考えついたものなんだから、オリジナルの日本では普通でしょ?」


確かに。
これを受けて、ホテルに帰ってから『リーン』周りのことを検索してみました。


「リーン生産方式」というのはトヨタの「カンバン方式」による生産方式を当時MITの教授だったジェームズ・ウォーマックとダニエル・ジョーンズが研究したものです。「リーン:lean」というのは「贅肉のとれた」という意味です。ムダの無い生産方式のことを「リーン生産方式」といったのですね。
今から10年以上前の2003年に、日経BP社から翻訳本も出ています。2008年には改訂版も出ました。

ジェームズ・P・ウォーマック
日経BP社
2008-07-17







この当時は、ゴールドラットの『ザ・ゴール』がベストセラーになった時期です。ビジネス書でも、製造にまつわる本が売れていた時代ですね。『ザ・ゴール』はTOC (Theory Of Constraints)という、ボトルネックを取り除く技術という、実にわかりやすい、細かい、身近なことを論じていたし、小説形式でグングン読めるように書かれていたのに対し、ジェームズ・ウォーマックとダニエル・ジョーンズの本は「いかにして価値(Value)を作るか」という本質論をしてから細かい技術の話に移っているせいか、あまり売れなかった記憶があります。


方法はどうあれ、「いかにして価値(Value)を作るか」(How do you create value?)というのは、商売をやっていく上での根本的な課題です。
この会話のきっかけになった本、エリック・リースの「リーン・スタートアップ」にしても、『「構築―計測―学習」のフィードバック・ループ』ばかりが話題になっていますが、それよりも「新しい製品やサービスを開発する際に、作り手の思い込みによって、顧客にとって価値のないものを作ってしまうことに伴う、時間、労力、資源、情熱のムダをなくす」という本質的なことの方がよほど重要です。『「構築―計測―学習」のフィードバック・ループ』なんていうのは、これを実現するための一方法にすぎないのです。


世の中は、ムリやムダが否定されて、とてもギスギスしたものになっていると感じます。もっと余裕があってもいいんじゃないか、ムダ歓迎、と思ってしまう私です。
生産をするにしても起業をするにしても、ギリギリのところでカツカツになっていくのはいかがなものでしょうか。

エリック・リース
日経BP社
2012-04-12