おばちゃんたちは良く食べるものをくれる。
おばちゃんたちは、若い人は全員カラアゲが好きだと思っているのかもしれない。若い人だと、うれしそうにカラアゲを作って出してくれたりする。横で私は「別にみんなカラアゲが好きなわけじゃないのになぁ」と思いながら見ている。

20140920_Karaage

広告もそうだった。「20代女子はみんなこういう表現が好き」「40代男子はこの商品に興味がある」という決め付けがまずあり、それに従って広告は作られてきた。
でも、20代女子はみんな同じじゃないし、40代男子はひとりひとりみな違う。制作者はこんなことはわかっちゃいるけど一人ひとり細かく表現を変えるわけにはいかないので、「マス」を取ってザックリと作っていた。
この「20代女子はみんなこういう表現が好き」とか「40代男子はこの商品に興味がある」というのを、もうちょっとわかりやすく具体的に表現したのがペルソナだ。


「長野県松本市在住。25歳女子。未婚。付き合っている人がいるにはいるが結婚、という感じにはなっていない。地元の高校卒業後、看護の専門学校に行って、いまは総合病院の看護師。先月のお給料は18万円。クルマはホンダのN-BOX 2011年モデル。本当は黄色いナンバーの軽自動車じゃなくて白いナンバーのフィットがいいんだけど、職場の駐車場では浮くかもしれないと思って看護師のスタンダードの軽自動車にしている。でも、ちょっとは個性的に見られたいと思って黒のN-BOXにした。月々の携帯電話代は1万円をギリギリ切るくらい。ガラケーの時より高くなって困ったな、って思っている」


こんな感じで、広告主に「この広告はこういうユーザーに効果があるのです」と話していた。でも、実際にこんな人にしか効果が無いようには制作はできないから、ペルソナを作っても制作自体はざっくりしていた。制作スタッフのイメージを統一させるのには少しは効果があったかもしれない。


デジタル・マーケティングは、こんなにザックリしなくてもいい。
今、カラアゲが食べたい人にはカラアゲを見せ、いまホンダのN-BOXを見たい人にはN-BOXを見せてあげることができる。
私は今日は朝から京都のホテルを探している。観光シーズンどまんなかの11月の連休に仕事で京都に行くのだが、全然ホテルが空いていない。とても出張で使える金額で満足な部屋が取れない。「あ、あった」と思ったらカプセルホテルだったりする。こういう私がいくつものホテル検索サイトを訪問して京都のホテルを探すと、この日に訪れた新聞社のサイトでも、Facebookでも、京都のホテルの広告が表示される。
こんなことはデジタル・マーケティングをやっている人ならみんな知っていることだが、一般の人はあまり知らない。
勤務先はコンピューターを売っている会社でデジタル・マーケティングの知識のある人はごく少数なので、こうしたしくみを話してあげると決まって「コワイ」「キモチワルイ」という反応になる。これが普通の反応だ。


逆にamazon.co.jpのリコメンドは多くの人に歓迎されているようだ。「知らなかったパソコンの便利なアクセサリーをamazonのリコメンドで知って買った、便利だ」というようにである。
「コワイ」「キモチワルイ」は、なかなか普及しない。大事なのは「便利だ」「うれしい」って思ってもらえるようにすることだ。
「みんなが幸せになるように、広告はこんなふうに変化しているのです」って、胸を張って言おう。