2014年のF1グランプリで、チームとドライバーの間の無線の内容に関する規制が始まった。

F1グランプリのルールを管轄するFIA(フランス語で「Federation Internationale de l'Automobile」)という団体が、F1チームがマシンやドライバーのパフォーマンスを助けるような無線通信をすることを全て禁止したのである。

http://f1-gate.com/fia/f1_24972.html

これによって、2014年シーズンの後半は以下の内容に関する無線通信が禁止された。

・サーキット上の走行ライン 

・縁石との接触 

・特定のコーナーに対するマシンセットアップのパラメーター 

・他ドライバーと比較あるいは正確なセクタータイムの詳細 

・他ドライバーと比較したコーナー速度 

・他ドライバーと比較したギアセレクション 

・基本的なギアセレクション 

・ブレーキングポイント 

・他ドライバーと比較したブレーキング率 

・基本的なブレーキング率またはブレーキングの適用 

・ブレーキング時におけるマシンのスタビリティ 

・基本的なスロットルの適用 

・他ドライバーと比較したスロットルの適用 

・他ドライバーと比較したDRSの使用 

・オーバーテイクボタンの使用 

・基本的なドライビングテクニック 


これはどういうことかというと、F1競技規約の第201項に「ドライバーは、1人で援助なしに運転しなければならない」と規定されているので、上記のような内容の無線通信をすると「1人で援助なしに」ではなくなるから規制する、ということなのである。


F1の世界の「データ・ドリブン」は、我々が取り組んでいるマーケティングの世界よりもはるかに進んでいて、クルマの走行データをリアルタイムに取得して、どのコーナーではどのギアでスロットルをどのくらい開け、どのタイミングでどのくらいの力でブレーキをかけて、どのくらいのハンドルの舵角で走れば一番早いのかが即座に計算される。

これまでチームは弾かれた数値をドライバーに無線で伝えていたのだ。無線でのこうした交信が禁止されたので、各チームはステアリングに付いているモニターを大型化し、情報をドライバーが読み取って判断するという方法に変えようとしている。

20141212_SauberF1_Steering

http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-2623514/The-incredible-graphic-reveals-screens-buttons-dials-switches-Sauber-Formula-1-steering-wheel.html


F1でも自動運転は実は可能で、コンピューターが弾き出したとおりにステアリングやブレーキを操作すれば、最速の運転が可能だ。

でも、それじゃレースじゃないだろう、レースというのは超人的なドライバーが超人的な技を用いて時速300Km以上で走るのだからレースなのだろう、ということである。


マーケティング・オートメーションが、徐々に実現されようとしている。しかし、このオートメーションには反発が大きい。「マーケティングなんか自動化できるわけないじゃないか」と。

マーケティングは、実のところ相当高度に自動化することができる。効果がなくなった広告を即座に別のものに差し替えたり、人によって異なるメッセージを的確に送ったり、だ。

ただし、どうしても今のところ自動化できないことがある。クリエイティブである。

「こんな人にはこういうメッセージを」という自動化ができるのは、「こういうメッセージ」を人が作ってからのことだ。

また、データ・ドリブンなマーケティングは、「負けない」ことには使えるが、「勝ちに行く」のには使えない。

データは、1秒前であろうと1年前であろうと、所詮はすべて「過去」のものである。

敵がこう攻めてきたらこう守る、というのは自動化できる。

しかし、敵が思いつかない攻め方、というのはデータ・ドリブンにはできない。


マーケティングは、自動化できる部分はどんどん自動化すればいいと思う。人間のやるべき仕事は、クリエイティブだ。同じ時間なら運用のような自動化できるために使うんじゃなくて、もっとクリエイティブなことのために使ったほうがいいだろうと思う。