コンサート・チケットの世界でもNHT (Non-Human Traffic)問題が深刻化している。

20150528_TicketBots
http://www.billboard.com/articles/business/6576021/rolling-stones-grateful-dead-bots-scalpers-ticket-sales

今やコンサートのチケットもプレイガイドに並んで購入するのではなくて、オンラインでの購入が主体である。
プラチナ・チケットが発売されると、ダフ屋の放った「Ticket Bot」というロボットがチケット・サイトにドドドと押し寄せ、買い占めてしまうのである。ダフ屋は定価で購入したチケットをオークション・サイトなどで転売するのである。

モノの価格は需要と供給のバランスで決定されるので、ダフ屋が転売して儲けられるというのは、コンサートにいくお客(需要側)が付けた価格が、アーティスト(供給側)の付けた価格よりも高いから起こることである。供給されるチケットの価格がお客が買ってもいいと思う値段と一致していればダフ屋は儲からない。

アーティストの側は「お金のない若い人にも自分たちのコンサートを見てほしい」というような気持ちがあるため、値付けが低めになる。発売時間にオンライン・チケットを取る時間を取ってくれさえすれば、安く手に入れてもらうことができる「はず」だったのである。ところがここに「Ticket Bot」が登場してくる。気がついたらダフ屋たちが席をごっそりと持っているということになってしまっている。
コンサートの会場は、お金が十分に支払える人だけ、結果として若者は少なく、中高年ばかりになってしまう、というわけだ。

「どんなに高い金額を払ってでもこのアーティストのコンサートは見たい」という熱心なファンのために、アーティスト側もいろいろ手は打っている。ポール・マッカートニーの武道館のコンサートのチケットが10万円で「高っけー!!!」と話題になったが、これと同じような高額のVIPチケットを用意する。ファン・クラブの会員だけの先行予約制度を作る、など。
でも、こうしたチケットも大量にダフ屋に出回り、VIP券はさらに高値で、ファンクラブ専用席もお金のあるおじさんたちに埋められてしまうという現状だ。

アーティスト側の「お金のない若い人にも自分たちのコンサートを見てほしい」という気持ちはわかるけど、こんな不毛な戦いはやめて、需給が均衡するくらいの価格にしてしまったほうがいいと思うんだけれどなぁ。