20160113

ITの会社にいて違和感がある言葉に「ユーザ」というのがあった。(日本のITの世界では最後の「ー」は使わなくて「コンピュータ」「データ」「センタ」というのだ)

ITの、とくに企業向けシステムを販売している会社にとっては「ユーザ」は販売相手先の会社であり、「エンド・ユーザ」というのは、この会社の中で実際にこのシステムを使う人たちのことである。例えばユーザは花王とかライオンで、エンド・ユーザは経理部とかマーケティング部、とかなのである。

広告育ちの私にとっては、これはとっても違和感がある単語だ。私にとっての「ユーザー」は、花王とかライオンの商品を買ってくださる方である。消費者である。

アド・テクノロジーの会社が「精密なターゲティングにより、ユーザ・メリットをもたらす」というような表現をしている時に対象としている「ユーザ」は、IT業界の「ユーザ」、つまり花王だったりライオンだったりするような気がする。だって、「精密なターゲティング」で、口紅を絶対買わないおっさんにデジタル広告を見せないことによってメリットが有るのは広告主であって、消費者ではないから。

長いこと社内システムを売ってきたIT業界の人に「はい、今日からユーザが意味するのは消費者です」と言っても、「はぁ?」ってなるだけだよね。
世の中は変わっているのにね。

私は、広告主もさることながら、消費者にメリットが有ることを売っていきたい。もちろん、お金をくださるのは広告主だけれど、消費者が喜ぶから広告主も喜ぶ、という仕組みを売っていきたい。

なので、ここしばらくはITの人たちとちょっと距離をおいたところにいたいな、と思っている。