2016年2月12日、Billboard誌恒例の「POWER100」が公開された。

http://www.billboard.com/articles/business/6874816/billboards-2016-power-100-list-revealed
毎年この時期になると「アメリカの大手企業には音楽マーケティング専任担当者がいて、この人達が音楽業界に力を持っているんだ」という話をする機会がある。
この「POWER 100」は業界の有力者100人をランク付けしたもので、レコード・レーベルの社長とか音楽出版社の社長など、いわゆる業界人がリストされている。
最近ではAppleやGoogleの音楽担当者が上位に入っているし、Spotifyの創業者ダニエル・エクなども入っている。
このリストの中に、何人も企業の音楽マーケティング専任担当者が入っている。
たとえばペプシ。

ペプシの音楽を使ったコミュニケーション戦略は有名で、「WHERE THERE'S MUSIC, THERE'S PEPSI.」をキャッチ・コピーにして音楽を活用している。
契約はもちろんワールド・ワイドで、インドでは契約していたビヨンセの顔をボトルに使用するような時期もあった。日本にも同じようなポジションがあるのかどうか尋ねたのだけれど、日本にはいないそうである。
競合のコカ・コーラももちろん音楽を活用したマーケティングに熱心で、アメリカではテイラー・スウィフトを起用している。
アメリカン・エクスプレスは、カード会員にコンサートのチケットの優先購入権を与えるなどの活動を行っている。アメリカン・エクスプレス・カードは「トラベル&エンターテインメント・カード」をスタート時のコンセプトにしているので、これを今でも守っているのである。

この人はシティ銀行のエンターテインメント・マーケティング専任担当者である。
これらは、音楽がマーケティングに有用なのだということを伝播させてきた先輩方の功績で、有力企業がこのような担当者を置くと後続企業がどんどん出てくるという結果になっている。
このような人がいる限り、音楽やアーティストが上手にマーケティングに活用される。
驚いたのは、ヒューレット・パッカードにも音楽マーケティング専任担当者がいたこと。全然音楽なんて無縁の会社だと思ったのだけれど、Billboard誌がニューヨークで主催した音楽マーケティングのセミナーのスピーカーにヒューレット・パッカードの人がいたので尋ねたら、なんと専任なのだそうだ。
音楽やアーティストのパワーが企業にとっても魅力的であることが、もちろん最重要である。