ニールセンの調査によると、
2015年の音楽ストリーミング回数は1449億回、
2014年の791億回から大きく伸びた。
そのうち4億7500万回、全体の3.28%がトップ10アーティストによって占められる「ブロックバスター現象」が起こっており、かつて予測されたような「ロングテール現象」は、起こっていないことが明らかになった。

BLOCKBUSTER ARTISTS INCREASED THEIR SHARE OF STREAMING CASH IN 2015
20160224_MusicBusinessWorldwide
http://www.musicbusinessworldwide.com/blockbuster-artists-increased-their-share-of-streaming-cash-in-2015/

一方で、マスコミによらずにSNS上も含む「口コミ」に影響を受けて音楽が消費される傾向になったため、新しい音楽と古い音楽の境目がなくなった。史上はじめて、その年に発売した曲の売上を前年以前の曲の売上が抜く、という現象も起きている。

2015年の米音楽市場、旧譜アルバムの売上が新譜の売上を上回る

ニールセンによれば、18カ月以上前にリリースされた旧譜フィジカル・アルバムの年間総売上は7120万枚で、新譜の6580万枚を上回った。ちなみに10年前の2005年には、新譜の年間売上は1億5000万枚で、旧譜を上回っていたという。
一方、デジタル・アルバムについては新譜の売上が旧譜を僅かに上回り、新譜は5250万枚相当、旧譜は5090万枚相当となっている。

特にビニール製のLPアルバムの年間売上ランキングではこの傾向は顕著で、首位のアデル『25』、2位のテイラー・スウィフト『1989』に続いてピンク・フロイドの『狂気』、ザ・ビートルズの『アビイ・ロード』、マイルス・デイヴィスの『カインド・オブ・ブルー』が上位に食い込む結果となった。

インターネットで新しい曲に気づくと、ユーザーにとってはこれが何年に制作されて発売されたものなのかは関係ない。いいものは30年前、40年前のものでもいいし、いくら新しいからと言って自分のテイストに合わないものは買いはしない。

これからの音楽産業は、ブロックバスターの対象となるビッグ・アーティストで稼ぐか、既存の音源でいまのテイストに合うものを改めて掘り起こして稼ぐか、という二つの道があるようだ。