私は数学が苦手だ。とても苦手だ。
しかし、デジタル・マーケティングの世界ではデータ・ドリブン・マーケティングなどという、いかにも数学ができないと難しそうなことを普及させようとしている。
長年、テレビ・ラジオや新聞・雑誌の広告を作ってきて、インターネットではさまざまなデータが取れることに狂喜乱舞して、以来ずっとその魅力にとりつかれているからだ。

20160226_Statics

http://wp6.hpstyling.com/2013/07/03/3814

マス広告を制作していると、一体この広告はちゃんと見られているのか、ちゃんと届いているのかわからないままに制作している気分になってくることがある。このようなことはビデオ・リサーチのような調査会社に依頼するときちんとした調査をしてはくれるのだが、特にクリエイティブを担当していると、本当にこれでいいのか、よくわからなくなることがある。こういう時には根拠の無い自信で乗り切るしかなかった。

インターネットでは、Cookieの活用などによってブラウザ一つひとつの行動が計測できるのが、私をデータ・ドリブン・マーケティングに夢中にさせた原因だ。どんなキーワードを検索エンジンに入力して、どこからどのくらいの頻度で来てくれる人が、どのくらいの金額を買ってくれるのかが見える、だなんて、マス広告の経験からすれば夢の様なものであった。

私はインターネット黎明期の20世紀末期にこれを体験したので、あれからかれこれ20年近く経つ。でも、いまだに勘と経験と度胸で勝負している人たちが山ほどいるので、あいも変わらずデータ・ドリブン・マーケティングの普及に勤しむことになってしまっている。

私のように数学が苦手でも、数字はどのように読めば良いのかが理解できるようになれば良い。おおまかな概念だけでも伝えたいので、入門書をず〜っと探しているのだが、なかなかいい本が見つからない。

先月、統計学のえらい先生に会う機会が会ったのだが、この方に推薦してもらったのがこの本である。
『Statistics Hacks ―統計の基本と世界を測るテクニック』



テックの世界で有名なオライリーだし、期待したのだけれどダメだった。結局数学が得意の人が書いた本なんである。
口調は「読者を舐めてるのか」って言う酷い翻訳だし、
いきなりt検定とか出てきても困る。
t検定なんか知らないからこの本を読もうとしているのに、あたかも「1+1は2ですよね」くらいのイメージで難しいことが出てきちゃうからイカンのである。

名選手必ずしも名監督にあらず。
数学ができちゃう人にとっては、どこが疑問なのか、どこでつまづいているのか、どうしても理解できないんだよね。

なにか、いい本があったら教えて下さい。