音楽ストリーミングの1ストリームあたり権利者に支払われる単価が下がってきている。
2013年には1ストリームあたり$0.0081だったのが2015年には$0.0051と、38%も下がっているのである。
THE REAL PRICE OF A MUSIC STREAM? IT JUST KEEPS GOING DOWN AND DOWN…
http://www.musicbusinessworldwide.com/the-real-price-of-a-music-stream/
これは考えてみれば当たり前で、サブスクリプション型でユーザーは月額固定料金を払い、この中の一定比率が権利者に支払われることになっているからだ。サブスクリプション型が浸透して、何回も何回も再生するようになると、1ストリームあたりの支払い単価が下がるのである。
私は、ストリーミング型の音楽聴取が、とても素晴らしいと思っているけれど、私は1ストリームあたりいくらという従量課金型派なので、サブスクリプション型には少し抵抗がある。
1990年代に私が制作していた音楽の中に、CDを買ってくれる人数は少ないが熱心で何回も何回も聞いてくれるファンのいる音楽と、CDは数多く売れるがその多くは1回とか2回とか再生されない音楽とがあった。
1万枚しか売れないアーティストには100万枚売れるアーティストの1/100しか収入がないのが当時であった。
今の良い子は「1回しか聞かないようなものに1000円も出さないよぉ」と思うかもしれないが、エンゲージメントが薄くても1000円くらいならCDに支払ってもらえるのが1990年代だったのである。
「安室ちゃんかわいい」「浜崎かっこいい」ということで、CDが売れた時代である。
私は、少数が何回も何回も聞いてくれる音楽も多数が1回聞いて納得しちゃう音楽も音楽の質としては変わらないので、1聴取あたりで課金できれば一番いいな、っと思っていた。
そうすれば100万枚×1回=100万再生のアーティストと、1万枚しか売れない×100回聞く=100万再生のアーティストの収入が同じになり、マニアックな音楽を追求しているアーティストも十分食っていけるようになる。また、1回聞いたらもう良くなっちゃうような音楽を提供しているアーティストは、何回も聞いてもらえるような、飽きのこない音楽作りをするようになるので、音楽全体の質が向上すると思っていた。
当時は技術的に聴取回数をカウントすることができなかったので、私の想いは実現しなかったが、今ならできる。
そろそろストリーミング・サービスは月額固定のサブスクリプション型から従量課金型に路線変更を考えてもらわないといけない時期に来ているのかもしれない。