Yahoo! JAPANが2016年3月8日に公開したレポート「日本は2つの国からできている!?〜データで見る東京の特異性〜」は、ずいぶん考えさせられた。

日本は2つの国からできている!?
〜データで見る東京の特異性〜

Yahoo! JAPANに集まるさまざまなデータを見ると、日本という国は「東京」と「その他」でできていて、東京の真ん中にいる肌感での判断は必ずしも日本全体の感覚とは異なる、ということなのだ。
データ・ドリブン・マーケティングを推進していると、じつにいろんなデータとその分析が出てくる。ところが、東京の真ん中で判断している企業の人々の肌感に合わずに「そんなわけはない」と言われて、施策に反映できないことが多々あるのだ。

昨年2015年から私はJ.D. パワーという国際的な顧客満足度調査機関の日本におけるコミュニケーションをお手伝いしている。この先いろんな商品の顧客満足度に関するコンテンツも作っていくけれど、いまはクルマ中心だ。そこで、この場を利用してクルマや通勤に関して、東京は他の日本とどう違うのかに関してレポートすることにした。

まず、通勤に関して。

日本全国で通勤といえばまずはクルマ通勤。通勤の比率は半分以上がクルマ利用なのに対して東京都はクルマ通勤はたった9%である。
このデータは国勢調査(2010年)から持ってきたもので、クルマ通勤は「クルマのみを通勤に使っている人」である。「最寄り駅までは家族にクルマで送ってもらい、そこからは電車」という人は「クルマ通勤」にはなっていない。それにしても、東京だけ、特別である。
したがって世帯あたりの乗用車保有数は0.46台と、際立って少ない。

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http://jdpower-japan.com/?p=667

クルマは実用的な「動く手段」ではなくて、もっと違う意味を持っていそうなのが、登録される自動車の中の輸入車の割合。

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http://jdpower-japan.com/?p=680

全国平均では輸入車の割合は6.4%なのに対し、東京都では15.5%。東京23区に絞ると23.2%。しかも、更に都心の港区にしぼると47.3%と、約半分が輸入車なのである。

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http://jdpower-japan.com/?p=683

世帯数あたりのカー・ディーラーの数は全国の下から二番目だし、

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http://jdpower-japan.com/?p=626

中古車ディーラー数は最下位。

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http://jdpower-japan.com/?p=671

クルマ通勤が少ない分、電車利用になるから、朝の通勤ラッシュはすごくて、全国の電車の混雑率のトップ25までが全部首都圏。26位にやっと関西が出てくるけれど、混雑率は144%と、首都圏の混雑率上位とはまったくレベルが違う。

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http://jdpower-japan.com/?p=677

毎日めちゃくちゃ混雑した電車で東京のどまんなかのオフィスに通って、走っているクルマはタクシー以外はほとんど輸入車、なんていうところの肌感が、日本全国というマーケットで通じるわけがない。

本当にこの国は「東京」と「それ以外」でできているのかもしれない。
私は2年近く長野県の田舎で暮らしたので、ずっと東京の都心で働き続けている人と違う感覚になっているにちがいない。そして、この感覚のほうが日本全国というマーケットの感覚に近いように思える。
感覚を正すには、データを澄んだ瞳で見つめて、そこに自分自身の感覚を持ち込まずに判断することだ。
データをもう少し信用してみよう。