音楽業界で働く関係者と話していた時のこと。
最近音楽業界で働く人たちのリテラシーがものすごく落ちていて、大問題なのだそうだ。
「音楽のリテラシー」とはどうことかというと、「この曲は、もうちょっとこうしてほしい」と注文が来た時に対処できるかどうか、ということである。
テンポを5落としたらどうなるのか?
キーを半音下げたらどう聞こえるようになるのか?
コードを変えたらどうなるのか?
使用する楽器を変えたらどうなるのか?
といったことである。

最近は、音楽の知識がなくても、楽器が弾けなくても、コンピューターで音楽をなんとなく作ってしまうことができるようになった。その結果、音楽リテラシーが低いプロデューサーやスタッフが増えてしまい、上がってきたものに対して「もっとこうして欲しい」と注文をしても、音楽に関する共通言語も無ければスキルもないので、結局ボツになるというような悲しいことが増えているのである。
これは、日本だけでなくて、アメリカやイギリスでも同じようだ。

ハーブ・アルパートがロサンゼルス・シティ・カレッジに1000万ドルを寄付した。これにより、無料の音楽教育の講座が始まることになった。

2016年8月25日
L.A. Times
20160829_HerbAlpert
Herb Alpert Foundation to donate $10.1 million to LACC — making studies for music majors tuition-free

ハーブ・アルパートは、アーティストとして「ハーブ・アルパート & ティファナ・ブラス」でデビューした。「オールナイト・ニッポン」のオープニング・テーマ「ビター・スィート。サンバ」はこのアーティストの曲である。
その後、ジェリー・モスと共同でA&Mレコード(Alpert & Moss)を設立し、カーペンターズやジャネット・ジャクソンなどの数多くのスターを産んだ。名曲「We Are The World」が録音されたのはA&Mスタジオである。
今の音楽業界の問題点をよく理解している「昔の」レーベル・オーナー、ハーブ・アルパートはこういう動きに出たのだ。
いま、音楽業界の成功者がやるべきことは、こういうことなんだろうと思う。