ラジオが聞ける無料アプリ「iHeart Radio」を運営する「iHeartMedia」が音楽ストリーミング・サービスに参入すると発表した。

iHeartMedia Nearing Paid Streaming Service [Billboard]

「iHeart Radio」はスマート・デバイス及びパソコンでラジオ番組を聞けるサービスである。ニューヨークのZ100やロサンゼルスのKIIS FMも加盟していて、全米各地のラジオ番組を聞けるほか、アーティスト名の付いた「〜〜ラジオ」がたくさんあり、特定のアーティストの曲を聞くことができる。

20160923iHertRadio
(アプリの画面)

現在は無料だが、来年2017年に月額5ドルでコマーシャルなしのラジオが聞けるバージョンと10ドルでストリーミングが楽しめるサービスを開始すると発表した。この「5ドル10ドル2段階方式」は、PandoraやAmazonと同じ。
これ以上、音楽ストリーミング・サービスを提供する会社が増えても飽和するだけなのに、参入である。

ベンチャー企業のSpotifyやSoundCloud、IT大手のApple、Google、Amazonにラジオ業界からこのiHeartMedia。衛星ラジオのSirius XMやインターネット・ラジオのPandoraも絡んでこの世界は過剰競争である。
そういえば、レコード産業から音楽ストリーミング・サービスにどこかが参入するのではないかという噂があったけれど、いまのところ、どこも手を挙げないね。

音楽ストリーミング最大手のSpotifyの昨年度の欠損は1億8400万ユーロ(約200億円)だったわけで、まだ儲かっている会社はないのだ。

iHeart Radio同様のサービスを行っている衛星放送ラジオのSirius XMの幹部は「今後、どのサービスが生き残っていくのかという全てのカードはレコード・レーベルが握っている」とコメントしている。
2016年9月20日
Hollywood Reporter
Sirius XM CFO David Frear: Music "Labels Are Holding All the Cards"

また、サムスン電子がアメリカで展開していたストリーミング・ラジオ・サービス「Milk」がサービスを終了した。
2016年9月22日
Billboard
Samsung’s Milk Music Officially Shuts Down U.S. Service

Spotifyは競合のSoundCloudを買収するという噂もあるし、SpotifyはFacebookが買収するという噂もある。
音楽ストリーミング・サービス界隈はここしばらくゴチャゴチャの状況が続き、最終的に1社か2社かの勝者が残るはずである。
ちゃんとウォッチしていかないといけないね。