オークションというのは、ときに過熱して商品の価値からかけ離れたとんでもない価格を出すこともあるけれど、おおむね、人々が求める価値相応の値段で落札される。これは、古典的な経済学の基本となっている。

オークファンという会社は、国内オークション市場の取引データを、過去10年分300億件以上蓄積しているのだそうだ。

最近、音楽関係のオークションというとコンサート・チケットの二次流通の話ばかりになるけれど、「日経ビッグデータ」ではCDとかグッズなどのチケット以外のアーティスト関係の物品の出品数、落札数、この比率にあたる落札率を報じている。

165万件のオークション取引データで判明、落札率No.1アーティストはBABYMETAL【日経ビッグデータ】
http://business.nikkeibp.co.jp/atclbdt/15/258689/092100018/

この記事によると、
出品数が多いのがAKB48と嵐
落札率が高いのがBABYMETAL
なのだという。

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http://business.nikkeibp.co.jp/atclbdt/15/258689/092100018/?SS=imgviewbdt&FD=-654637068
(↑ここに、大きくて見やすいグラフィックがあります)

 
日本のアーティストの人気の具合はオリコンのヒット・チャートが中心である。この他に、よくテレビに出る人はタレント好感度調査などもあるが、やはりオリコンが中心となる。
アメリカのBillboard誌が採用しているニールセンのSound Scanは、CDやダウンロード、ストリーミングの他に、ソーシャル・メディアでの人気度など複合的に計算を行っているが、その方式はブラックボックスに包まれている。

それに対し、オークションの出品数や落札率は、音楽ライトユーザーの動向がわかる良い指標かもしれない。
BABYMETALは、グッズなどの供給があまりにも少ないがゆえに高い落札率をもつ。
おそらくAKBも、秋葉原にショップなんか出しておらず、グッズの供給が足りなければこのような状況になったのではないか。

アメリカの「Billboard Touring Conference」 http://www.billboardtouringconference.com/ のようなイベントでも価格設定の問題が取り上げられるなど、アーティストごとに適切な需要と供給のバランスを見つけ、その結果グッズ類などの価格や販売ルート(AKB48のように直売所を設けるのか、レア度を上げるために会場ごとに違うグッズを売るなど)を決定するのが大変むずかしい。
このために、オークションのデータは使えるかもしれない、と、この記事を見て思った。