日本の人はお行儀が良いので、あまり海賊版のCDやmp3ファイルに手を出さない。でも、世界ではそんなことはない。お隣の韓国なんかはこれが極端で、大抵の音楽はネットで海賊版がただで手に入るからと、韓国のiTunes Storeにはミュージックのストアは存在しないくらいだ。

スティーヴン・ウイット著、関美和訳の『誰が音楽をタダにした?』を読んだ。



いまや音楽はタダだ。
YouTubeでシングル曲なら気前よくレコード・レーベルが無料で聞かせてくれるし、アルバムの曲も YouTube mp3 (http://www.youtube-mp3.org/) などでmp3化したファイルを聞く事ができる。
この本は、この時代の前のパソコンで聞けるmp3を利用した海賊版ファイルの流通の話だ。

mp3という、まぁまぁ日常使用には問題ないオーディオ圧縮方式が出てきて、インターネット上でオーディオ・ファイルを流通させることが容易になった。
多くの人はこういう話だと「ナップスター」を想起するかもしれないけれど、「ナップスター」はオンラインの海賊ファイルを素早く探し出せるようにしたサービスであって、ナップスター自身が海賊オーディオ・ファイルを所有していたわけではなかった。
世界中のマニアックな人達が、自分には何の得もないのに、どこかから発売前のCDを盗んできて、mp3化してインターネット上に置いたのである。

これがもう一般化してしまい、いつしか「お金を出して音楽を聞くなんてバカげている」という風潮になってしまった。この結果、韓国のように社会全体が音楽にお金を払わなくなってしまったのである。

一度「タダで当然」となってしまった社会にもう一度お金を出してもらうようにするのは、実に大変なことだ。いまはその途中。
AppleがiTunes Storeで音楽をダウンロードできるようにしたこと、数多くのプレイヤーが月額固定制の音楽ストリーミング・サービスをスタートさせたこと。
この先、音楽の供給側が一番頑張らなくてはいけないのは、お金を払いたくなる音楽を世に送り出すことだ。
従来と同じようなものを制作して流通させても、結局タダで聞いてしまっておしまいだ。手段は20世紀のようにCDのようなパッケージでも21世紀風のストリーミング・サービスでも良い。
とにかく、お金を支払いたくなる作品を世に出す努力が必要だ。