2016年に起こったことで一番印象的なのはアメリカ大統領選挙でドナルド・トランプが勝ったこと、
二つ目がイギリスが国民投票でEUからの離脱を決めたことだ。
アメリカ大統領選は、ドナルド・トランプの「Make America Great Again」というメッセージがヒラリー・クリントンの「Stronger Together」よりも強かったということだ。イギリスのEU離脱は、押し寄せる移民がもたらすイギリス人の貧困への恐怖が勝ったということだ。
どちらもとても内向きな結論で、今の時代はとても各国が孤立主義に移行しているのがわかる。

そもそもアメリカ合衆国という国は孤立主義の国家であった。
孤立主義(Isolationism)とは、第二次世界大戦前までアメリカ合衆国が原則とした外交政策で、モンロー主義に代表される。第5代アメリカ合衆国大統領ジェームズ・モンローが、1823年に議会で行った7番目の年次教書演説で発表した内容が「モンロー主義」と言われる。要点は

・ヨーロッパ諸国の紛争に干渉しない。
・南北アメリカに現存する植民地や属領を承認し、干渉しない。
・南北アメリカの植民地化を、これ以上望まない。
・現在、独立に向けた動きがある旧スペイン領に対して干渉することは、アメリカの平和に対する脅威とみなす。
であった。
この源泉は、初代大統領ジョージ・ワシントンが離任に際しての告別演説の中で、「世界のいずれの国家とも永久的同盟を結ばずにいくことこそ、我々の真の国策である」と述べたことである。

いまでは航空機で全世界どこにでも24時間以内に到達できるようになったし、ましてインターネットによるコミュニケーションは国境を越える。この時代に、モンロー主義を彷彿とさせるような、一国孤立主義に、アメリカもイギリスも陥っている。

こういう時に頼りになるのは国連なのだろうか?

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国際的な貿易などの協定はさまざまあるけれども、国際政治のコントロールをするのが一見国連であるように思える。
しかし、日本ほど各国は国連を重視していない。
日本の国連の分担金は2億3700万ドル、$=115円で換算すると年間272億円以上になる。分担率はアメリカの22%についで二位の9.68%、対GDP費の負担率でドイツやフランスなどを上回る。この他に日本はPKO予算に約450億円、WHOやユネスコなどの国連機関に約300億円も出しているので、年間1000億円程度が日本から国連に出されている資金だ。

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日本はこれを律儀に全額支払っているのだが、他国は滞納が多い。分担金の滞納額が最も大きいのは、アメリカ合衆国で、2012年10月5日現在、アメリカの滞納額は7億4,400万ドル($=115円換算で855億円)。中国の滞納率は65%、韓国は現事務総長も出しているわけだがなんと84%が滞納である。まともに支払う気がないらしい。

国連を正しく知るために (国際連合広報センター))

今のような風潮が世界に蔓延し、国連もあてにされていないとすると、このままどんどん各国の孤立化が進んでいくのかもしれない。

グローバル化の良い点として、一国一国では規模が小さすぎて成立しないビジネスがグローバルなら成立するということがある。
私が今取り組んでいるエンタテインメント産業がまさにそれである。日本一国ではマーケットが小さくてなかなか成立できないビジネスが世界規模なら実現できるのである。韓国はマーケットとして小さくてこの国だけでは韓流ドラマもK-Popも成立しないけれど、グローバル化すると、ちゃんとしたビジネスになるのだ。

私としては、この各国の孤立化の進行は自分の商売の大きな障害になるので、なんとか止まってほしいところだ。
しかし、この大きな流れはとても止められそうもない。
ならばどうするのか? 来年は潮目を見ながら考える年になるような気がする。