今年2017年に入って日本の物流が大きく変わろうとしている。
ヤマト運輸の過重労働が問題となり、この根本にはamazonの荷物が増えすぎていることが問題になった。
amazonの売上が伸びると、ヤマトへの発注が増えることになる。強力な交渉力をもつamazonの荷物のヤマトの利益は、我々がコンビニに持ち込むような荷物よりも大幅に薄いものとなる。
ヤマト運輸の持株会社のヤマトホールディングスは上場企業なので決算をウェブサイトで公開しているが、2016年度の扱い荷物の個数は16億個と史上空前になっているのだが、営業利益は年々下がっている。
つまり、扱い個数が増えても利益は増えず、これに再配達などが加わると利益を食っていくことになってしまっているのだ。
この模様を小説化したのが楡周平さんの『ドッグファイト』だ。
作者の楡さんは週刊文春のインタビューに以下のように答えている。
「アマゾンやヨドバシの通販など配送料が無料ですが、おかしいと思いませんか? たとえば1冊の本を配送するのにも、本を仕入れ、倉庫に保管し、オーダー毎にピックアップし、パッキングし、中央倉庫からデポ(中間拠点)に運び、小口の運送へと何段階もの過程を経る。誰かを泣かさなきゃ配送料無料のビジネスなんて成り立たない。いろいろな運送会社の決算書を見ると、どこも物量は上がっているのに利益は伸び悩んでいます。しかも当日配送すら行われていますから、数時間単位の配送の競争を強いられています。労働条件が悪化し、今やターミナルで働いているのは外国人ばかりで、トラックの運転手の4割は50代以上。年収も大幅に下がり、だから若い人が寄りつかないわけです。そんな中でどう利益を上げるか徹底的に考えました」
以前は帰ってきてポストに不在票が入っているとその足で郵便局に行って書留を受け取るというようなこともできたのだが、さすがに夜9時閉店となるとそうもいかない。翌朝出かける前に郵便局に寄って受け取ることになった。
悲しいのは、行くのが遅くなると翌日も仕事熱心な配達員がこれをもって再配達に出かけてしまうことがあり、せっかく窓口に行ってもこの郵便物はそこにはない、ということもあることだ。
私のクレジット・カードの更新時期は3月から5月に集中していることもあり、ここしばらく何回か郵便局に取りに行っているのだけれど、この「基本的に在宅していないと受け取れない」システムはもう時代遅れだよね。発送する側も書留じゃない方法を考えてほしい。なかには普通郵便でクレジット・カードを送ってくる会社もあるからね。
さて、amazonからはヤマト運輸が当日配達からの撤退を検討しているとのことだ。アメリカでは、amazonは配送を自前でやる動きが始まっている。日本ではすでに「プライムナウ」に関しては自前で配送を開始しているし、ヨドバシカメラは東京23区内では「ヨドバシエクストリーム(Yodobashi Xtreme)」をスタートしてこちらも自前で配送している。


これから日本のamazonも自前配送に向かうのだろうか? そうしたら、日本の物流も変わっていくのだろうか?