なにげなく中山七里さんの小説を読んでいたらグサッと来るフレーズがあった。
学内コンクールで優勝して学校の財産であるストラディバリウスのバイオリンを貸与された音大生が感じたこと。
【引用】
足りないところ、必要なものは全てストラディバリウスが教えてくれた。ボクはその声に従って呼吸し、弓を引けば良かった。
【引用終わり】
ピアノでもギターでも、安くって良くない道具を使っていると全然上手にならない。でもいい楽器って、ここに書いてあるとおり「足りないところ、必要なものを教えてくれる」んだよね。これって、料理人にとっての包丁とか、大工さんのカンナなんかも同じなんだろうね。
子どもに楽器を買ってあげようと思っているパパママは、ちょっとムリしてもいい楽器を与えてあげてね。
時代がデジタルになればなるほど体を使ってナマで行われるパフォーマンスが喜ばれる。全部デジタル音源で演奏される音楽もそれはそれですばらしいけど、これに生身のヴォーカルが乗っただけで喜ばれる。
カラダを使って行われる表現に使われる道具の中でも良い道具は、使いやすく、表現したいことを的確に表現できるようになっているし、力量が足りないと全然動いてくれない。
すごいね。
最近、クラシック音楽を題材にしたいい小説が多い。
第154回直木賞候補、第13回本屋大賞受賞の宮下奈都さんの『羊と鋼の森』
第156回直木賞と第14回本屋大賞を受賞した恩田陸さんの『蜜蜂と遠雷』
今回紹介した中山七里さんの岬洋介シリーズ。
なんで最近クラシック音楽なのかね?