アメリカのガイドブックの一つに「Lonely Planet」というのがある。日本でいう「地球の歩き方」にあたるガイドブックだ。




1973年に創刊され、現在118の国と地域で650タイトルを出版しており、英語による旅行ガイドブックのシェアは25%で、世界一のガイドブックである。
いまでこそTrip Advisorなどのウェブサイトの口コミを読んで旅行する人が増えているけれど、口コミを寄せる人たちも基本情報はここから得ているケースが多いので、相変わらず影響力がある。
日本に関しては「Japan」一冊で全国を網羅しているので、全928ページで厚みは35mmもある。

私たちは最近、東京にやってくる訪日観光客対象に原宿ファッションや秋葉原のコスプレ、マンガを描くというような体験プログラムを「pop-cul.jp」というブランドで提供しているので、このガイドブックで紹介されている物事も気になるのだ。
「東京」のページには「Best Place to Eat」として、おいしいお店がピックアップされている。ここに掲載されているお店には一通り行ってみた。
私が東京に来てからずっと通い続けてる目黒のとんかつ屋さんの「とんき」とか、ポータージュ・スープみたいなラーメン・スープで有名な「篝」など。
このリストには「どうしてここが選ばれるのだろう?」というような、私には選定の根拠がわからないお店もある。別に味が素晴らしいわけでもなく、外国人でも使いやすい写真入りのメニューがあるわけでもなく、外国語のしゃべれる店員がいるわけでもないようなお店が掲載されてるのだ。

でも、このガイドブックで知って初めて行った高円寺の「天すけ」は、本当にいいお店だった。

場所は高円寺。高円寺北口中通り商店街から庚申通りを入ってすぐの右側「天すけ」と書かれた看板が目印だ。カウンター12席のみのこじんまりしたお店だ。

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ご主人は有名天ぷら店の「つな八」や「天國」で修行した職人さんなんだそうだ。だから味はバッチリ。正統派の天ぷらである。しかもお値段はお手頃。天丼1,350円、名物の玉子天ぷらは定食でも天丼でも1,600円である。
このご主人がなかなかすばらしい。

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http://www.chuosen-rr.com/special/interview08/
「高円寺の人気天ぷら専門店・天すけ店主に聞く」【なみじゃない、杉並】

見ているとお客に英語で話しかけるが、なかなかいい英語を話す。ある時は韓国語で天ぷらの種類を説明して、なんとかなんとかが「マシッソヨ」と話しかけていた。
その上でパフォーマンスをするのである。
名物の玉子の天ぷらを揚げる時に殻を割って油に投入する派手な動作をした後、歌舞伎の「見得を切る」ようなアクションをするのだ。これがなかなかいい。外人大受けである。

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「Lonely Planet」で知って良かった。
ちょっと都心から離れた高円寺でもさしつかえないお客さんは、これからもどんどん連れて行こうと思う。

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こういう「感じの良い」お店が東京にもっともっと増えてほしいな。
外国人に限らず、人が喜ぶ姿をもっと見たいからね。