タイトルで損する本というのがよくある。
三木雄信さんという著者の『孫社長にたたきこまれた すごい「数値化」仕事術』もそんな本の一つだ。



著者は、ソフトバンクで孫さんの下にいて、あるとあらゆる事を数値化して、孫さんを納得させて数々のプロジェクトを成功に導いた人なのだそうだ。

この本が、数値を使ってプロジェクトを運営し、ひいては経営に生かしていくのに大事なことが詰まっている。
目次を見ただけで、これがよく分かる。

【目次】
■「数値化仕事術」を実践するための7つのポイント■
1)数字は、「与えられるもの」ではなく、自分で「取りにいくもの」
2)数値化の目的は、「どうだったか」ではなく「どうするか
3)数値化のファーストステップは「分ける」。数える前にまず分けろ! 
4)問題のありかが見えてきたら、さらに細かく分けて計測してみる
5)数値化のゴールは、現実の問題を「数式で表す」こと
6)数値化したら、あとはPDCAを高速で回し続ける
7)問題解決後も数字でチェックを続け、環境変化にいち早く気づく
■問題解決に絶対役立つ「データ分析・7つ道具」■
1)プロセス分析
2)散布図と単回帰分析
3)重回帰分析
4)パレート図分析
5)T勘定
6)差異分析
7)LTV分析
■よくある「間違った数値化」パターン■
1)数字の単位、定義、解釈が曖昧 
2)「分け方」が甘い、あるいは不適切
3)計測している数字がゴールと結びついていない
4)数字の「マンネリ化」
5)数字の「内向き化」
6)PLAN(分析)ばかりでDO(実行)していない
7)相反する二つの数字を同時に達成しようとしている
■三つの「数値化のワナ」■
1)「累積」のマジック
2)「平均値」のマジック
3)「配賦」のマジック
■「数字に強い人」は知っている理論・法則■
1)大数の法則と期待値
2)鮭の卵理論
3)72の法則
4)限界効用逓減の法則
5)ダンバー数
6)マジックナンバー7
7)イノベーター理論とキャズム理論

実はこれらのことは実行はそんなに難しいことではない。この本には、ほぼExcelでできる範囲でやり方も書いてある。もちろん、複雑な作業にはアドインをインストールしないといけない内容もあるけれど「Rを書きましょう」とか「高価なツールを買いましょう」ということは書いてない。(もちろん高価なツールがあれば、もっと簡単にできることも多いけれど)

孫さんがどのくらいすごいか、ということはこの本の冒頭と末尾には書かれているけれど、別にこの本は孫正義に関する本ではない。でも『孫社長にたたきこまれた すごい「数値化」仕事術』というタイトルにしてしまったおかげでまるで孫さんに関する本みたいに見えてしまうのがとても残念だ。
特に
■「数値化仕事術」を実践するための7つのポイント■
1)数字は、「与えられるもの」ではなく、自分で「取りにいくもの」
2)数値化の目的は、「どうだったか」ではなく「どうするか
はとても重要なこと。
数字のために数字を作るようになってしまっては本末転倒だからね。