
先週、大手広告会社の人と打合わせしていて唐突に「TFM」という略語が出てきた。「TFMって何?」と尋ねると、どうやら「テクロノロジー・フォー・マーケティング Technology for Marketing」らしい。
略語反対。
略語にしたおかげで、それが何なのかがよくわからなくなる。
ヒューレット・パッカードに勤務していた時には「CMS」を売っていた。「コンテント・マネジメント・システム Content Management System」である。ところが、別の「CMS」が出てきてややこしくなった。「キャンペーン・マネジメント・システム Campaign Management System」である。話している人がコンテンツの話なのかキャンペーンの話なのかわかっているうちはまだいいが、理解できないで混同してしまっている人も中にはいた。この「キャンペーン・マネジメント・システム Campaign Management System」は、最近「MA マーケティング・オートメーション Marketing Automation」に取り込まれた模様である。
私にとって「TFM」とは「東京FM」であり、それ以外は説明してもらわないとピンと来ない。同様に「TBS」とは「東京放送 Tokyo Broadcasting System」であってアメリカの「ターナー・ブロードキャスティング・システム Turner Broadcasting System」ではない。
略語を普通に使っているうちにその本来の意味がわからなくなる人も多い。
TPPってなんだ?
M&Aってなんだ?
PTAってなんだ?
「Trans-Pacific Partnership」とか「Mergers and Acquisitions」とか「Parent-Teacher Association」と答えられる人はどのくらいいるのだ? PTAって、単なる保護者会だと思っている人が多いのではないか? 本来は「保護者と教職員による社会教育関係団体」なのだぞ。
日本だけでなくてアメリカの会社にも略語、それも社内にしか通じない略語が多い。外資系コンサルタント会社の人に「GTM」と言われて「それ何ですか?」と聞いたら「Go To Market」のことでグッタリしたり(笑)資料に「ASIS」と書いてあって何かの略かと思って尋ねたら、現在の状況を示す「as is」のスペースを打ち間違えているだけだったりしたこともある。
略語は、やめよう。
「TPP」って言わないで「Trans-Pacific Partnership」と言おう。
「PTA」って言わないで「Parent-Teacher Association」と言おう。実態がもし「保護者と教職員による社会教育関係団体」じゃなくなっているのなら「保護者会」と言おう。
ついでに「梅新」じゃなくて「梅田新道」と言おう。(笑)