Dennis 50

インターネットで本当にコミュニケーションは変わったのかなあ? 購買行動は変わったのかなぁ? できる限り、実験してみたいと思います。

経営のこと

2016/11/25(金) 晴れ やってもいないのに「規制があるから」というのがヘンテコだという話

サイボウズの青野慶久さんが書いたこの記事が発端で、シンポジウムなども開かれる事態が起こっている。

国産クラウドがグローバル展開できないたった一つの理由

シンポジウムの記録はこれ。

EUデータ保護規則による「越境データ問題」
高木浩光氏、山本一郎氏、板倉弁護士ら激論、「本質理解しないから過ち繰り返す」(ビジネス+ IT)

青野さんが「note」に書き込んだのは「サイボウズのクラウドサービス『kintone』をEUで展開したいができない。この理由が「EU一般データ保護規則(GDPR)」だ」ということであった。

20161125_EU_Flag

GDPRはEUで個人データを保護するための法律で、個人データを扱う企業がEU域外へデータを持ち出すことを厳しく規制している。日本はEUの十分性認定を受けていないので、たとえば日本企業の現地法人が現地子会社社員の人事情報を日本で管理したり、顧客データを集めて活用したりするには、事実上、「標準契約条項」(SCC、Standard Contractual Clauses)を締結する方法しかない、と言われているのである。
一方でEUとアメリカは、2016年2月にヨーロッパの個人データを米国に移転できるようにする新たな枠組み「EU-USプライバシー・シールド」の導入で合意しているので、 GoogleやAmazonのようなアメリカ企業はヨーロッパでの活動に問題がない」のである。

私の意見は
「とっととEU圏内なりアメリカの会社になってしまって、いらぬ規制のある日本なんかにこだわってなんかいなくてもいいじゃないか」である。
人口も1億人しかいなくて、生産性も低く、これかの社会の高齢化にともなってマーケットの将来性の薄い国になんかこだわる必要はないし、もっと法人税率の低い国なんかいくらでもある。ドナルド・トランプは公約で「法人税15%」を打ち出しているので、これが実現するならアメリカでも十分安い。
高木さんや板倉さんは、このシンポジウムでも企業自身が日本から出ていくというのは想定されていないけれど、これからのスタンダードは、いつでも一番有利な場所に本拠地をおいていく経営だと思うので。

この件を、アメリカ系企業の内側にいて国際法務実務を長くやってきた人に話したら「やってもいないのに事前に規制を心配するのが間違いなのです」と言う。
私は、EUデータ保護規則の課徴金は全世界の売上の4%と決まっているから、もし刺されたらヤバイ、と思っていたのだが、そうではない見方もあるのである。

東名高速の速度規制は100Km/hですが、車の流れはそれ以上で、流れに乗って走ろうと思うと自然に110Km/hとか115Km/hとかになってしまいます。
事前に弁護士に『東名高速道路を115Km/hで走ろうと思うがどうか?』と聞いたら、そりゃ『規則違反だからやめとけ』と答えますよ。
でも、実際には何が何でも100Km/hで走っていたほうが危険だったりもする。
これと同じように、やってもいないのに事前に弁護士に意見を求めるから『君子危うきに近寄らず』的な答えが返ってきちゃうんです。
実際にEUデータ保護規則の課徴金が課されたケースってまだ一度もないんですよね。
サイボーズがヨーロッパに出ていってKintoneをアメリカやオーストラリアと同じように売ってみて、当局がやはり全世界売上の4%を要求してきたら、その段階で対処すれば良いのです。
Googleなんかは、いまでもEUといろんなところで戦いながら商売をしている。これは時にはEU競争法だったり、あるときは各国の著作権法だったりするわけですが、いまやアメリカ政府にとってはGoogleは守るべき企業になっているから、政府もバックアップしてくれるわけですね。
サイボウズのKintoneもヨーロッパでよく売れて、ヨーロッパのユーザー側から『サイボウズのサービスが受けられなくなると困る』という声が広がり、これを日本政府もバックアプせざるを得ないところまで一気に持っていければ、世界売上の4%だなんだという話にはならずに済み、いまGoogleがヨーロッパで戦っているレベルと同じになるのです

目からうろこである。
びっくりである。

確かに言われてみればそうである。
ゴチャゴチャ言わずにまずは自分の信じるように運営してみて、問題が出てきたらその場で対処する。GoogleだってFacebookだってそうやってきたではないか。
こういう考え方もあるのである。

2016/09/14(水) 曇り EU圏内をターゲットにするビジネスをするための一つの手法、エストニアの電子市民になること

「オランダに会社を作ってEU域内を対象にしたビジネスをしたいが、誰かそういうコーディネーションをしてくれる人を知らないか? 最初は英語の通じるイギリスにしようと思っていたがEU離脱だと言うのでオランダにしようと思って」という相談がFacebookで回ってきた。
そういう人は知らないので反応はしなかったのだが、このときに「Kanda News Network」の神田さんがエストニアの電子市民になったのを思い出した。


バルト三国の一つ、旧ソ連の小国エストニアでは、「e-Residency」というサービスを2014年12月から行っている。
20160914_e-Estonia
https://e-estonia.com/e-residents/about/
エストニアへの滞在許可がない外国人に電子上のエストニア国民資格を与えIDカードを発行することによって、エストニアのサービスを世界各国どこからでも受けられるようにするものだ。

20160914_e=Residency

「e-Residency」では、どこの国民でも100ユーロの手数料を支払えば誰もが資格を取得でき、デジタル方式で書類と契約にサインすればエストニア政府の規制の下にインターネットだけで会社を設立して、運営できる。
新会社設立の銀行口座を作る際には、IDカードをエストニアの銀行に直接持って行く必要がある。このときに最低一度はエストニアに行くことになる。でも、いったん銀行口座が開設できれば、ネット・バンキングを使って世界のどこからでも口座を管理できる。
また、エストニアでは個人の所得は課税されるのだが、事業所得は課税されないため、すべての事業所得を再投資に使うことができる。

エストニア政府はこれを積極的にすすめていて、2025年にはe-Residencyの国民が1000万人を越えるのが目標なのだそうだ。

エストニアはEU加盟国であるから、域内のビジネスは普通に行なえる。
EU域外の国民で、EUでビジネスを行ないたい人にとってはこういう方法もある。
今回、Facebookで相談している人は東京からの直行便がどうしても必要な商売らしいのでこれは使えないが。
 
この方法は、人口たった130万人の小国の国家経営の手法で、デジタル技術を活用した先端的な方法である。
事業所得は課税されないといっても個人所得は課税されるのであるから、商売がうまくいって自分の所得を取ろうと思えばエストニアに納税することになる。エストニアの現地で人を雇うこともあるかもしれない。
こういう柔軟な国家経営をしている国もあるのだ。
すばらしいね。
 

2016/09/02(金) 曇り 収入印紙って何だ?

20160902

既存の会社を引き継ぐことが8月31日に決まって、バタバタしている。
会社の登記を変更したりしなくてはならない。これには登記印紙が要る。これは意味がわかる。会社に関するお墨付きを法務局が与えるための手数料である。変更登記にバカみたいにお金がかかるが、これは良しとしよう。
問題なのは、領収書や契約書に貼る収入印紙である。
 
20160902

5万円以上の売上の領収書には200円の収入印紙、売上額が3000万円〜5000万円ともなると1万円の収入印紙を貼らねばならない。
1万円を超える請負の契約書には200円の収入印紙。
国税庁が配っている資料にはご丁寧に
「請負には、職業野球の選手、映画(演劇)の俳優(監督・演出家・プロデューサー)、プロボクサー、プロレスラー、音楽家、舞踊家、テレビジョン放送の演技者(演出家、プロデューサー)が、その者としての役務の提供を約することを内容とする契約を含みます。」
と明記されているので、これは無視できない。
これも5000万円〜1億円ともなると6万円分も貼らないといけない。

政府は、私が今領収したこのお金に何か責任をもってくれたの?
これから仕事をするこの契約が契約違反になって計画通りの売上が達成できなかったら、何かしてくれるの? なにせ6万円も収入印紙に金を払ってるんだぞ。ロケやコンサートの開催保険だって、予算5000万円で6万円も取らないぞ。

何なんだろうね、収入印紙って。

2016/02/14(日) 晴れ 「人は楽しんだ分だけお金をくれるのだ」と思うことにした

東京地区の百貨店が好調だそうだ。
原因としては中国人観光客の爆買いだと言われているけれど、百貨店の広報担当者何人かにお話を伺うと、別に爆買いで一店舗の売上を支えられる程ではないので、やはり日本人の消費が戻ってきているのだという実感なのだそうだ。

20160214_Isetan

日本百貨店協会 百貨店売上高

この統計を見ると、百貨店が好調なのは外国からの観光客の多い東京地区と京都地区だけで、それ以外の地域、特に10大都市以外は軒並みマイナスなので、確かに中国人の爆買いが大きな影響を与えているように見ることもできる。しかし、都市ごとの経済状況の統計と合わせてみると、必ずしも中国人の影響ばかりとも言えない。

そもそも百貨店に行く理由がない。ほとんどのものはネットで買えてしまうし、家電量販店や最寄りには大型スーパー・マーケットやショッピング・モール、アウトレット・モールもたくさんある。
「宝石や高級時計を買うなら、信頼のおける百貨店」「百貨店にしか入っていないブランドの洋服がどうしても欲しい」というような、ちゃんとした理由がないと百貨店になんか行かない。

百貨店は百貨店なりに、家電量販店は家電量販店なりに、「その店に行く理由」と作ってあげないと、お客は来てくれない。
なんらかの付加価値である。

たとえば家電量販店のうち何社かでは有料の保証制度がある。これは、たとえばメンバーシップに入るとか、購入価格の5%を支払うとかして有料保証を受けると、メーカーの1年保証にプラスして5年間とか3年間とかの保証が得られ、その対象もブルーレイ・レコーダーのハードディスクとか洗濯機のモーターなど、メーカー保証では対象外にしている部品も対象となる。
こういうのをもっとアピールしていけばいいと思うのだが、量販店でこういうのを勧められたことはないよね。

消費はあいかわらず冷え込んだままだけれど、人は喜んだ分だけ、楽しんだ分だけお金をくれるのだ、と思うことにしよう、と決めた。
洗濯機なんてネットでも買えるしそのほうが安いけど、据え付けまでやってくれる家電量販店の方がいいとか。そのためならお金は払っていただけるのだと。

こう思うことにしたのだ。

2016/01/25(月) 晴れ アメリカ企業にとってアメリカでうまくいくこと=世界でうまくいくこと

フォードが日本から撤退する。

20160125_Ford
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160125-00000056-reut-bus_all

フォードは日本市場で2014年度(2014年4月から2015年3月まで)の新車登録数が4,544台、その前の2013年度は4,570台だった。
http://www.jaia-jp.org/wp-content/uploads/2015/04/2014FY_NewCarNews.pdf 日本自動車輸入組合発表)
フォードは世界で632万台を売っていて、世界の中の日本の割合は1%にも満たない。
日本で1年間に売れる国産車と輸入車の合計も約600万台だから、日本におけるフォードのシェアも1%未満である。
ここまでよく我慢したものだと思う。

日本のマーケットはむずかしい。安全基準が高くてこのためのコストがかかるし、右ハンドルじゃなきゃいけない、とか、ブレーキ・ランプはこのくらいの明るさじゃなきゃいけない、とかいう、国土交通省の規制も大きい。でも、これはどんな国でも多少なりともあることだ。
マーケティング・コミュニケーションにおける本国アメリカのやり方が全く通用しないのだ。アメリカ式のテレビ・コマーシャルも受けず、アメリカ式のイベントも人が集まらない。アメリカ式の価格戦略も効果なく、原価割れ寸前まで価格を下げたところで売れはしない。
アメリカ本社はまず、法規制に関して「ロビイストを雇ってアメリカ並みの規制にするようにしろ」というが、日本の自動車メーカーと比べてあまりに力が弱いのでなかなか通らない。アメリカ政府に助けを求めても日本での現状の売上が小さすぎるので、せいぜい東京の大使館の商務担当が話を聞いてくれる程度だ。
「じゃあ、しかたがない」と、法規制の部分までは仕様変更などで対応してくれるのだが、マーケティング・コミュニケーションに関しては、そうはいかない。「世界共通で巨大なお金をかけて制作しているクリエイティブの変更は認めない」と言ってくる。「このクリエイティブで中国でもヨーロッパでも売れているのだから、日本で売れないのは日本法人の力不足だ」ということになる。
これを繰り返していると日本の従業員は次第に無気力になり、本国の言いなりになる。文句があっても言わないようになるのだ。
全体の1%もないところから撤退するのは会社にとっては痛くも痒くもない。日本企業の例で言うと、売上が悪いからといって稚内とか根室の営業所を閉鎖するくらいのものだ。

これから、こういうアメリカ企業が増えていくと思う。同じ自動車で言うとフォードよりももっと売れていないGMがまだ日本に拠点を構えているのが不思議だ。
日本だけじゃなくて世界中で調子が悪いマクドナルドが一気に日本撤退を表明してもおかしくない。
最近社長が交代したP&Gも、いつまで日本のマーケットで頑張れるかわからない。

アメリカ企業にとってアメリカでうまくいくこと=世界でうまくいくこと、なのである。法規制とそれへの適合はともかく、「スター・ウォーズ」の新作の公開初週の興行収入ランキングが1位にならない稀有な国であり、アデルが1週たりとも1位にならないという、変わった文化を持つ日本におけるマーケティング・コミュニケーションなんて、理解を超えている。
できれば日本は「近寄りたくない国」になってきているのである。

livedoor プロフィール

dennis_jp

消費行動の本
記事検索
  • ライブドアブログ