今日も悲しい話を聞いた。コンサルタントを入れたにもかかわらず、コンサルタントの言うことのうち自分にとって都合のいい部分だけ取り入れ、あとは勝手にやって失敗した例。このコンサルタントはクビになってしまった。
こういうコンサルタントの使い方が後を絶たない。こういう使い方では、いくら優秀なコンサルタントでも能力を発揮できない。
経営書も同じである。
経営学は学問であるから、あくまで一般化された事柄が書いてある。実務者にとっては「自分の経営環境とここが違う」「学者先生の言っていることだから」と言って、せっかく読破した本のことは忘れてしまったり、都合のいいセリフを会社の朝礼でちょこっと引用するだけだったりする。
星野リゾートの星野佳路さんは違う。とにかく教科書通りにやってみるのだ。「星野リゾートの教科書」という本には、星野さんがとにかく本を隅から隅までよく読み、本に書かれている内容をつまみ食いしないで100%自社で実践してみて、本に書かれている一般論で自社がうまくいくところを見つけ出し、うまくいかない部分があればこれを修正していく有様が書かれている。
どこにでもある旅館を高級旅館として再生した時のマイケル・ポーター著『競争の戦略』の活用法、
市場で埋没したリゾートを立て直した時のフィリップ・コトラー著『コトラーのマーケティング・マネジメント』の活用法、
ブランド価値を高める改革を行った時のアル・ライズ著『ブランド・エクイティ戦略』の活用法など
有名な本の指し示す施策をいかに100%その通りに実施し、その結果どうなったかがインタビュー形式で語られている。
この「100%書いてあるとおりにやってみる」ということの難しさも書いてあるし、ブック・ガイドとしても読める。
こう考えると、『もしドラ』(正式には『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』)の主人公の高校野球のマネージャーも同じだ。(文庫版も出版された)
ドラッカーが書いていることを忠実に野球部に当てはめたらどうなるかを真剣に考えて実行した話。
最近、続編『もし高校野球のマネージャーがドラッカーの『イノベーションと企業家精神』を読んだら』も出た。
人の言うことを100%実行する、って、抵抗があるのかなぁ?
やってみると良いと思うよ。