Dennis 50

インターネットで本当にコミュニケーションは変わったのかなあ? 購買行動は変わったのかなぁ? できる限り、実験してみたいと思います。

音楽のこと

2016/10/02(日) 晴れ ネット・オークションでのCD、アーティスト・グッズなどの出品商品数と落札率がビジネスのヒントになるかも

オークションというのは、ときに過熱して商品の価値からかけ離れたとんでもない価格を出すこともあるけれど、おおむね、人々が求める価値相応の値段で落札される。これは、古典的な経済学の基本となっている。

オークファンという会社は、国内オークション市場の取引データを、過去10年分300億件以上蓄積しているのだそうだ。

最近、音楽関係のオークションというとコンサート・チケットの二次流通の話ばかりになるけれど、「日経ビッグデータ」ではCDとかグッズなどのチケット以外のアーティスト関係の物品の出品数、落札数、この比率にあたる落札率を報じている。

165万件のオークション取引データで判明、落札率No.1アーティストはBABYMETAL【日経ビッグデータ】
http://business.nikkeibp.co.jp/atclbdt/15/258689/092100018/

この記事によると、
出品数が多いのがAKB48と嵐
落札率が高いのがBABYMETAL
なのだという。

20161002_Auction
http://business.nikkeibp.co.jp/atclbdt/15/258689/092100018/?SS=imgviewbdt&FD=-654637068
(↑ここに、大きくて見やすいグラフィックがあります)

 
日本のアーティストの人気の具合はオリコンのヒット・チャートが中心である。この他に、よくテレビに出る人はタレント好感度調査などもあるが、やはりオリコンが中心となる。
アメリカのBillboard誌が採用しているニールセンのSound Scanは、CDやダウンロード、ストリーミングの他に、ソーシャル・メディアでの人気度など複合的に計算を行っているが、その方式はブラックボックスに包まれている。

それに対し、オークションの出品数や落札率は、音楽ライトユーザーの動向がわかる良い指標かもしれない。
BABYMETALは、グッズなどの供給があまりにも少ないがゆえに高い落札率をもつ。
おそらくAKBも、秋葉原にショップなんか出しておらず、グッズの供給が足りなければこのような状況になったのではないか。

アメリカの「Billboard Touring Conference」 http://www.billboardtouringconference.com/ のようなイベントでも価格設定の問題が取り上げられるなど、アーティストごとに適切な需要と供給のバランスを見つけ、その結果グッズ類などの価格や販売ルート(AKB48のように直売所を設けるのか、レア度を上げるために会場ごとに違うグッズを売るなど)を決定するのが大変むずかしい。
このために、オークションのデータは使えるかもしれない、と、この記事を見て思った。

2016/09/29(木) 晴れ Spotifyが日本でもサービスを開始した

Spotifyが日本でもサービスをスタートした。招待コードを送ってもらってスタートするしくみである。
 
20160929_spotify-entry
https://www.spotify.com/jp/invite/

料金体系は無料のFreeプランと月額980円のPremiumプラン。
有料にするとできることが上手にまとまっているサイトがあったので紹介しておこう。
20160929_spotify-free-premium
http://www.tokyo-indie-band.com/2016/10/spotify-free-vs-premium.html

なおかつ、Spotify自身が「iTunesでのSpotify料金は割高です」として、iTunesではなくて直接の支払を求めている。
20160929_spotify-iTunes
https://support.spotify.com/jp/article/spotify-through-the-app-store/


他の国に先駆けて日本で最初に導入されたのが歌詞の表示機能。20160929_spotify-lyrics
歌詞全文が表示されて再生中の行が明るく表示される機能。
なかなか良い。

Spotifyはインディーズ・アーティストに優しく、専用のページを利用すると、自分たちでプロフィールを書いたり、好きな写真をアーティスト紹介の際に使ってもらったり、コンサート・ツアーのスケジュールを入れておいてユーザーの近くの街で公演するときにはフラグを立ててくれたりする。
Spotify Artists

今回聴取可能な楽曲は約4000万曲と、ものすごく多いのだが、日本で今サービスを成功させるためには邦楽の充実が必要だ。
今週のオリコン・ウィークリー・チャート ベスト10でSpotifyで聞けるのは10曲中4曲。
×1. "Sha la la☆Summer Time" Kis-My-Ft2 
○2. "YAMATO☆Dancing" BOYS AND MEN
×3. "ユメ語るよりユメ歌おう" Aqours
×4. "Shut up!! Shut up!! Shut up!!" EXILE THE SECOND
○5. "Swan" [Alexandros]
×6. "世界に一つだけの花" SMAP
×7. "夏のOh!バイブス" バンドじゃないもん!
○8. "Joy-ride 〜歓喜のドライブ〜" EXILE
×9. "Brave Freak Out" LiSA
○10. "どっとjpジャパーン!" たこやきレインボー
AKB48はあるけれどジャニーズは一切なし、宇多田ヒカルもなし。高齢者に人気のサザンオールスターズや松任谷由実やミスター・チルドレンなんかも一部を除いてほとんどなし。
日本資本のAWAやLINE MUSICが破れない壁は、やはりスウェーデンに本拠を置くSpotifyは破れない。
この先、この島国の音楽ユーザーとどう付き合っていくのかは見つめていくしかないけれど、すごく大変だと思うよ。
 

2016/09/26(月) 曇り 野球場がコンサートに使わせてもらいづらくなっている

音楽産業の収益構造の中心にライブ・コンサートが位置づけられるようになってから、球場を使用したコンサートが大変増えている。

2016年9月22日に豪雨の中、甲子園球場で開かれた水樹奈々さんのコンサートで、球場の外野の芝生がボロボロになってしまった。

甲子園球場の芝生がボロボロ ゲリラ豪雨下のコンサートでダメージ【デイリースポーツ】
阪神の本拠地・甲子園球場が26日、アクシデントに見舞われた。ゲリラ豪雨に襲われた22日に歌手のコンサートが開催。20日夜の設営から23日の撤去まで4日間、雨が降り続いたため、外野の芝生がダメージを受けた。
 阪神園芸の関係者は「ライブの跡は痛むけど、ここまで悪いのは初めてです。雨が降り続いたことで想定していたより、ひどい状態になった」と驚いた。内野の黒土も「ボコボコで、工事現場の跡のようだった」という。

この日のコンサートは、報道を見る限り、ものすごい雨の中行われていたようだ。

水樹奈々、豪雨の阪神甲子園球場でライブを開催! 37,000人を動員【マイナビニュース】

この状況はかわいそうだとは思うけれど、本来使用目的である野球の試合に支障が出てしまうようだと、この先野球場を貸してもらうのは難しくなるかもしれない。

昨年、三代目J Soul Brothersが福岡ドームでコンサートしたときには撤収が遅れてしまい、球団に迷惑をかけてしまった。

ソフトB 前日のコンサート余波…撤収作業遅れで練習短縮【スポニチ】

こういうことが続くと、コンサートに球場は使わせてもらえなくなる。
収容人数が大きな会場が使えなくなると、その下の規模の会場での公演を何回もやることになる。昨年まで国立競技場で公演していた「嵐」の東京公演は11月19日から21日までと12月26日から28日までの合計6日間、東京ドームで行われる。東京ドームで公演できるくらいのアーティストが会場が押さえられなくなると、それよりも小さいクラスの会場で何公演も行うことになる、、、というドミノ倒しが起こるのである。

アメリカでも、野球場は重要なコンサート会場だ。
20160926_ThankYouBillyJoel

ビリー・ジョエルもこの写真のようにシカゴのリグレー・フィールドでの公演を行っている。
音楽アーティストが球場の信用を失わずに、これからも野球場でコンサートが続けられることを祈っている。

2016/09/23(金) 曇り iHeart Radioも音楽ストリーミング事業に参入して音楽ストリーミング・サービスはますます混乱の模様

ラジオが聞ける無料アプリ「iHeart Radio」を運営する「iHeartMedia」が音楽ストリーミング・サービスに参入すると発表した。

iHeartMedia Nearing Paid Streaming Service [Billboard]

「iHeart Radio」はスマート・デバイス及びパソコンでラジオ番組を聞けるサービスである。ニューヨークのZ100やロサンゼルスのKIIS FMも加盟していて、全米各地のラジオ番組を聞けるほか、アーティスト名の付いた「〜〜ラジオ」がたくさんあり、特定のアーティストの曲を聞くことができる。

20160923iHertRadio
(アプリの画面)

現在は無料だが、来年2017年に月額5ドルでコマーシャルなしのラジオが聞けるバージョンと10ドルでストリーミングが楽しめるサービスを開始すると発表した。この「5ドル10ドル2段階方式」は、PandoraやAmazonと同じ。
これ以上、音楽ストリーミング・サービスを提供する会社が増えても飽和するだけなのに、参入である。

ベンチャー企業のSpotifyやSoundCloud、IT大手のApple、Google、Amazonにラジオ業界からこのiHeartMedia。衛星ラジオのSirius XMやインターネット・ラジオのPandoraも絡んでこの世界は過剰競争である。
そういえば、レコード産業から音楽ストリーミング・サービスにどこかが参入するのではないかという噂があったけれど、いまのところ、どこも手を挙げないね。

音楽ストリーミング最大手のSpotifyの昨年度の欠損は1億8400万ユーロ(約200億円)だったわけで、まだ儲かっている会社はないのだ。

iHeart Radio同様のサービスを行っている衛星放送ラジオのSirius XMの幹部は「今後、どのサービスが生き残っていくのかという全てのカードはレコード・レーベルが握っている」とコメントしている。
2016年9月20日
Hollywood Reporter
Sirius XM CFO David Frear: Music "Labels Are Holding All the Cards"

また、サムスン電子がアメリカで展開していたストリーミング・ラジオ・サービス「Milk」がサービスを終了した。
2016年9月22日
Billboard
Samsung’s Milk Music Officially Shuts Down U.S. Service

Spotifyは競合のSoundCloudを買収するという噂もあるし、SpotifyはFacebookが買収するという噂もある。
音楽ストリーミング・サービス界隈はここしばらくゴチャゴチャの状況が続き、最終的に1社か2社かの勝者が残るはずである。
ちゃんとウォッチしていかないといけないね。

 

2016/09/22(木)(祭) 曇り アメリカ音楽産業のストリーミング依存高まり、業界全体の売上は2年連続拡大した

2016年9月20日BloombergがRIAA (Record Industory Assi\ociation of America : 全米レコード協会)からのリークの形で2016年上半期のレコード産業の売上が報道された。

(日本語版)
米音楽売上高、上期に8%増加−スポティファイやアップルがけん引
(英語版)
The Music Industry Is Finally Making Money on Streaming

ブルームバーグ・ニュースが入手したRIAAの上半期レポートのドラフトによると、1〜6月(上期)の音楽売上高は前年同期比8.1%増の34億ドル(約3470億円)。これはアメリカのレコード産業が2年連続の拡大に向かっていることを意味する。2年連続の成長は1998〜99年以来となる。

20160926bloomberg

このうちストリーミングの売上が16億ドル、そのうちサブスクリプションは合計10億1000万ドルに上った。このように、ストリーミング配信が売上をけん引した。
ストリーミングの売上は前年同期比57%増である。

世界最大の音楽サービスはYouTubeで、上半期トップ50曲のうち47曲がYouTubeで配信されている。

20160926RIAA2

しかし、レコード産業の売上ではSpotifyが圧倒的。

20160926RIAA1

このような表現が出てくるのは、YouTubeの料率を適正化しようというレコード産業の意図がにじみ出ている。
広告ベースのストリーミング・サービスのレコード産業への分配が少ないことを示唆するグラフィックも用意されている。

20160926RIAA3

RIAA会長のカーリー・シャーマンは「a remarkable transformation and reinvention」だというコメントを出している。

CDやレコードなどのパッケージ・ビジネスからストリーミング・ビジネスに移行していくレコード産業。
あとは、適切な分配が行われるように、RIAAがうまくロビー活動を行っていけるかどうか、にかかっている。

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