Dennis 50

インターネットで本当にコミュニケーションは変わったのかなあ? 購買行動は変わったのかなぁ? できる限り、実験してみたいと思います。

データ・ドリブン・マーケティング

2014/11/26(水) 雨 データ・ドリブン・マーケティングに関するセミナーを実施した

Web広告研究会の月例セミナーで「大丸松坂屋百貨店にデータ分析を取り入れてみてわかったこと、会社が少し変わるかもしれないこと、これからの課題が見えてきたこと」という、いささか長いタイトルのセミナーを実施した。
ここ何年か私が取り組んできたデータ・ドリブン・マーケティングに関するセミナーである。

20141126_Seminar
今回は、Web広告研究会で実施した大丸松坂屋の今年のお中元商戦におけるビールの日次の売上データに関する、マーケティング施策の効果測定を行った。
数理モデルによる解析結果をブレインパッドの大畠正照さんが発表、
お中元に関する意識調査の分析結果をインテージの家中孔憲さんが発表、
口コミキーワードによる分析をホットリンクの宮田洋毅さんが発表したのだが、
今回のメインは実際にデータ分析に取り組んでみて、1611年創業という老舗企業でどんなことが起こったのかという、大丸松坂屋百貨店の神谷彩子さん、田中直毅さんの発表だった。
お手元資料は、ここからどなたでもダウンロードできるようになっている。
https://www.wab.ne.jp/wab_sites/uploaders/1020


データ・ドリブン・マーケティングの信念は「データを活用した手法を使えば、企業のマーケティング活動は向上する。勘と経験と度胸頼みの意思決定から脱しよう」ということ。そのために「企業のマーケティング担当者に「データを意思決定に取り入れてみよう」と思ってもらえるようにすること」を目標に活動してきた成果だ。


セミナー終了後、集められたアンケートをチラ見した。細かく書いてくださっていることは全然読めなかったんだけれど、評点だけ見ると、10点満点もあるけれど、7点とか8点とかもちらほら。ぶっちぎりの全員10点満点を目指していたんだけれど、どなたにも喜んでいただけるセミナーってなかなかできないね。


年内いっぱいでヒューレット・パッカードを辞めて、その先どこでどういう仕事をしていくのかまだ決まっていないけれど、今後もこういう取り組みはやっていきたいと思っている。

2014/11/06(木) 曇り データ・ドリブン・マーケティングを取り入れようとすると、意外な壁にぶつかるのです

11月26日に、Web広告研究会の月例セミナーで報告をします。
https://www.wab.ne.jp/wab_sites/contents/1999
「大丸松坂屋百貨店にデータ分析を取り入れてみてわかったこと、会社が少し変わるかもしれないこと、これからの課題が見えてきたこと」
11月26日(水)15:00-17:00
会場:コートヤード・マリオット銀座東武ホテル 3F 龍田の間

Web広告研究会の分析ワーキング・グループでは、今年は大丸松坂屋のお中元のビールのデイリーの売上データをお預かりして、さまざまな広告活動がそのように売上に影響を及ぼしているかを検証しました。

20141106_DaimaruMatsuzakaya
データは、大丸松坂屋の内部データの他に、
・ビデオリサーチ:テレビCM視聴率、Web広告推定出稿金額
・ワイヤーアクション:テレビ番組で取り上げられた時間
・MRS広告調査:新聞広告、雑誌広告、屋外広告、交通広告の出稿量
・ホットリンク:インターネット・口コミ量
・ヤフー:インターネット検索量
の無償提供をいただき、これをユニシス提供のデータ・レポジトリに各社がアップロードしました。
毎週一回木曜の朝に各社の分析のプロが集って、ウイングアーク提供のBIダッシュボードで確認しながら作業をしました。


当日は、この報告もしますが、それより興味深いのは大丸松坂屋百貨店の社内で起こったさまざまな変化です。
まず最初には、当然あると思っていたデータがほしい形ではなかったこと。それを集めて統合するのが大変だったこと。情報システム部門にはそれでずいぶん厄介をかけたこと。検証してみたら、社内で考えられていた仮説がことごとく正しくなかったこと。段々社内の各部署が協力的になってきたこと。この先のビジイネスモデルを考えるのに、データをベースに考える人が少しずつ出てきたことなど。
今回の目玉は、分析結果の発表じゃなくて、この当事者に巻き起こったことなんです。


大変興味深いので、ぜひお越しください。
Web広告研究会の会員外の方も、有料で参加できるようです。

2014/08/13(水) 晴れ テストできるんだったらすればいいのに

ハリウッドに「The Numbers」というサービスがある。

20140813_TheNumbersCom
http://www.the-numbers.com/


映画の制作前にシナリオや想定キャストをこの会社に渡すと興行収入を予想してくれるサービスである。「ギャラは✕億円上がるが主演をこの人に代えれば興行収入が✕✕億円上がる」というようなアドバイスもくれる。
このサービスへの批判としては、「あまりにも多くの映画プロデューサーがこのサービスを使うのでハリウッド映画は同じような作品になってしまった」とか、過去実績のある俳優偏重となって新人が出てこれない」などがある。


もともと、ハリウッドには、映画公開前にテストをする歴史がある。
「スニーク・プレビュー」というものである。
日本語で「試写会」と訳してあるのを見たことがあるが、日本の試写会とは異なる。
広告などで集められた観客に無料で映画を見せるのは同じだ。しかし、複数回開催してそれぞれ違う結末や設定の作品を見せ、それぞれの評価をアンケートで集めるのである。

20140813Sneak-previews

スニーク・プレビューには、
出演者も作品名も明かさずに行う「覆面試写会」形式のものもあるし、
「スター・ウォーズ」のように上映前から多額の興行収入が予想されるものに関しては題名を明かして実施するもの、
アンケートをとってもそれを編集がえなどに使う気持ちはほとんどなく、自分たちが制作したものがお客に受けるのだと確認するためのもの、
などがある。


映画はカネがかかる。
カネがかかるのであれば、リスクを少しでも軽減したほうが良い。
映画の結末に2つのアイデアがあり、どちらがいいのか決めかねているなら、スニーク・プレビューの出番である。
ハリウッドは昔からこうして作品を生み出してきた。
テストをしながら、観客の反応をうかがい、一番反応の良い物を世間に出してきたのである。


だから、制作方法も日本映画とは異なる。
思いつく手法、思いつく演技は思いつくアングル全てで撮ってみるのである。集められる素材は全て集め、この中から最高の組み合わせを選んで編集していくのである。


資本の要らないビジネスならば、とにかくスタートしてみて、ソーシャルメディアを活用して顧客の反応を見て、良い物だけを選んで実施していけば良い。「100本企画を出してうまくいくのは1本か2本」くらいの気持ちで、スピード感を持ってどんどんやっていけば良い。グロース・ハックの方法である。
それに対し、先行投資の大きいビジネスには、ハリウッドのようなテストを多用する手法をとったほうが良い。「The Numbers」が使っているようなテスト・ツールはパッケージ化して発売されているのだから。

2014/08/04(月) 晴れ 気持ち悪がられないリコメンデーション

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オーディエンス・データを広告で使うと「オーディエンス・ターゲティング」になるが、自社サービスで使うと「リコメンデーション」になる。
リコメンデーションといえばamazonである。マッキンゼーの昨年の推計によれば、amazonの売上の35〜36%がリコメンデーションによるものではないかという。
http://www.sbbit.jp/article/cont1/26276


さらに、リコメンデーションの活用によって売上を伸ばしているのがオンラインDVDレンタルサービス「Netflix」で、『ビッグデータの正体』の著者、ビクター・マイヤー=ショーンベルガーによると、Netflixの新規受注の3/4が、リコメンデーションによるものだという。(http://amzn.to/1o7jfpr 33ページ)


今日、リコメンデーションを業務の一部として取り組んでいるリクルートの方のお話を聞く機会があった。
そのなかで興味深かったのが「リコメンデーションをキモチワルイと思われない工夫」ということであった。
一般的に言われているリコメンデーションは、このサイトでの購買履歴を使ってされるものだが、リクルートは多彩な事業を行っているので、自社のさまざまなサイトへの訪問履歴だけでも、訪問者のプロフィールを推測することができる。


「Suumo」で三鷹のアパートを探した訪問者がいる。この同じ人がアルバイトを探すサイト「Town Work」で三鷹地区のアルバイトを検索しているようであればこの訪問者は大学生など、若い人であろうと想像できる。「ホットペッパー」で美容院を探していれば女性ではないかと推測することもできる。同じ「ホットペッパー」で探しているレストランの価格帯から、外食に使いたい金額を知ることができる。生活の程度を推測する一つの要素である。就職サイト「リクナビ」へのアクセスがあれば、この学生の所属大学や学部など、詳細なデータを得ることもできる。
これだけのデータが有れば精度の高いリコメンデーションをすることができるのだが、問題なのはこの精度の高いリコメンデーションを「なんで自分のことをこんなに詳細に理解しているのだ」「キモチワルイ」という反応である。


このために、たとえば不動産サイトなら「エリアが似ている」「広さが似ている」「徒歩分数が似ている」「他の人が見ている」などと、リコメンデーションする理由を明示する工夫をしているというのである。

20140804_Suumo

リコメンデーションには大きく分けて3つある。
1)マスメディアが昔から取っているアプローチ。「売れ筋ランキング」など、顧客の行動履歴や過去の購入商品に関係ない「おすすめ」。これはあくまで一般論だからキモチワルイ度はほとんどない。
2)アイテム・ベースのアプローチ。「この商品を買った他の人が買っているのはこれ」というようなアプローチ。「自分の購入データも他の人に何かをおすすめするときには使われている」のだが、そこまで考えが回る人はあまりいない。
3)人ベースのアプローチ。これまでの購買履歴やクリックなどの行動データを利用したもの。一番キモチワルがられる。でも、これがデジタル・マーケティングの真髄である。


「オーディエンス・ターゲティング」であろうと「リコメンデーション」であろうと目指すものは同じ。
欲しい時に欲しいものの情報がスコンスコンと入ってきて、興味のない情報が表示されないことだ。
京都に旅行に行きたくなった瞬間に自分好みの京都旅行の情報がどんどん入ってきて、興味のない女性用の化粧品の情報は入らない。逆に旅行をどうするか決めて、日焼け止めの化粧品に関して調べようと思ったら今度はそっちの情報が入ってくる、という風にしたいのだ。
こういうことが消費者の幸せなのだ、という考えだ。
消費者の幸せのためにがんばっているのに、消費者から「キモチワルイ」って言われちゃったら元も子もない。
誤解されずにみんなが幸せになって、情報の海で溺れないようにしたいのだ。

2014/07/28(月) 晴れ テスト・マーケティングの変遷

20140728

かつて、テレビ・コマーシャルは、全国規模で放送する前にどこかの地方を選び、テストを行うことが流行したことがあった。
日本の場合は静岡県や広島県が選ばれることが多かった。都市と農村の分布や年齢別の人口分布などが全国の縮図になっていたことや、地域メディアが充実していて、その地域のみにコマーシャルを流すことができたからである。たとえば奈良県でテストをしようにも奈良県だけではなくて関西地区全域で流れてしまうので、テストにならないからである。
放送を開始すると、店頭での売行きをチェックするのはもちろん、調査会社に依頼して好感度や認知度をチェックしたのである。
ただちに大規模な費用をかけて全国規模のプロモーションを行うよりは、1つの地域で失敗したほうがましだ、という理屈である。


最近は、このテスト・マーケティングはウェブ・サイトで行うのが合理的だ。
オバマ大統領が前回の選挙で用いた「A/Bテスト」である。
これを解説した本がなかなかおもしろい。



『部長、その勘はズレてます!』というタイトルがいい。原題は『A/B TESTING : The Most Powerful Way To Turn Clicks Into Customers』だから、原題よりも全然いい。編集者の勝利か?


ただ、A/Bテストは時間がかかる。
コピー案ABC3案、
色味の案ABC3案、
レイアウトの案ABC3案
をテストするには、まずコピー3案のテストを行い、このチャンピオンを使って色味のテスト、さらにそのチャンピオンを使ってレイアウトのテストを行うことになる。それぞれに1週間を要すのだとすると、合計3週間もかかってしまい、ちょっとしたキャンペーンなんか終わってしまう。
また、各項目のチャンピオンを掛けあわせるので、チャンピオン×チャンピオン×チャンピオン、の結果しか出せない。でも実はコピー単体のテストでは2位しか取れなかったものと色味の3位を掛けあわせたもののほうが効果を得られることがありそうなことは想像がつくだろう。
スポーツのチームでも、最高のプレイヤーだけを集めてチームを組んでも必ずしも勝てないように。


こんな時には多変量テストである。
コピー案ABC3案、
色味の案ABC3案、
レイアウトの案ABC3案
この3×3×3=27通りを出し分けてテストする方法である。
これなら、コピー単体、色味単体、レイアウト単体でテストするよりも効果的である。


スピードと成果を求められる現代のマーケティングは、つねにテストをしながら本番を回していく、という時代になった。

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