Dennis 50

インターネットで本当にコミュニケーションは変わったのかなあ? 購買行動は変わったのかなぁ? できる限り、実験してみたいと思います。

時代の変化

五十音順電話帳がなくなるのだそうだ 2020/06/19(金)

個人名の五十音順電話帳「ハローページ」が2023年になくなるのだそうだ。

ハローページ終了へ 個人電話帳、130余年で幕 【朝日新聞デジタル 2020年6月19日】
20200619HelloPage
https://www.asahi.com/articles/ASN6L6RD7N6LULFA01X.html

電話帳広告は、少し前まで効果のある媒体だった。平成23年3月現在と、すこし古いデータしかないのだけど、全国でタウンページ(職業別電話帳)が約4,751万部、ハローページ(個人名の五十音順電話帳)が約4,436万部もの発行があり、常に必要な時に消費者の身近にあるものだったのだ。実際に商品やサービスを探す場合に使用する広告媒体で、PR効果を飛躍的に向上させるものだった。

広告料金もけっこう高くて、1ページの広告の場合、掲載エリアの人口が100万人だと、月額20万円くらいもした。

今回廃止されるのは個人名の五十音順電話帳「ハローページ」だけで職業別電話帳の「タウンページ」は存続するようだが、職業別電話帳にはまだ少しは広告媒体としての価値が残っているのだろう。

20世紀には、子どもが急な病気になったときとか水道が壊れたとき、引っ越し屋さんを探すときなどには、まず最初に頼りにするのが電話帳だった。いまなら「高島平 小児科」と検索するのが電話帳だったのだ。いまでも超高齢者は頼りにしているのだろう。引っ越しで有名なアート引越センターの社名は職業別電話帳で、最初に掲載されるために選ばれたのだ、というエピソードを知っている人もいるかもしれない。

20200619PhonebookAd

「タウンページ」は、なにせ4,751万部もの発行部数を誇る大出版メディアである。一般的に日本で一番発行部数が多いとされているのはJAF(日本自動車連盟)の会員に年10回送付する会員誌「JAF Mate(ジャフメイト)」で、2020年2・3月号の実績で12,796,800部と公表しているから、4000万部以上の「タウンページ」には遠く及ばない。「タウンページ」はいまでも日本最大部数である。固定電話に加入していない世帯にも無料でポスティングされるから、日本最大のフリーペーパーと言えるかもしれない。
でも、これからどんどんこの広告価値は下がっていっていずれはゼロになることは明らかだ。NTTは「iタウンページ」というウェブサイトを立て、SEOに強いということを売りに営業しているみたいだ。広告やウェブサイトのプロは揺るがないけど、中小の商店やクリニックの人はついつい頼んじゃうんだろうね。

(参考:NTT タウンページのウェブサイト)
20200619iTownPage
https://itp.ne.jp/tpclub/web/

「タウンページ」もいずれなくなっちゃうんだろうね。超高齢者向けの仕事が来たら最後にいっぺん提案してみようと思っているんだけれど、なかなかそういう仕事はやってこない。

チームの一体感はオフィスに毎日通うと醸成されるものなのか? 2020/05/28(木)

緊急事態宣言が解除されて、自粛要請は徐々に解除されているから、我慢しきれなかった人がドカンと街に出てきているかと思いきや、まだそんなでもない。



緊急事態宣言の前からリモートワークをしていた会社もあるので、リモートワークはすっかり浸透して、これからの主流になるかと思いきや、サイバーエージェントはリモートワークをやめちゃうんだそうである。

これからの働き方について【渋谷ではたらく社長のアメブロ(藤田晋さん)】
リモートのメリットは、zoom会議の利便性、移動コストの削減、オフィス賃料の見直し、通勤ストレスの軽減など、並べればたくさんあります。
一方で、リモートでは一体感、チームワークは損なわれます。また、リモートではかなり極端に成果主義、個人主義に振らざるを得なくなり、それは当社の根本的なカルチャーと相性が悪いです。それらは数値には出来ないですが、当社にとっては強みが失われかねない由々しき問題です。

つまり、リモートワークではチームの一体感が醸成されない、というのである。

残念なんだけれど、これは理解できない。

私は外資の「特にオフィスじゃないとできない業務がない場合は出社の必要なし」という会社に勤務していたことがある。外資だし、僕のカウンター・パートはロンドンだったりサンフランシスコだったりしたので、対面で話をすることなんか年に何回かだけで、日常的に電話とテレビ会議で付き合ってきたけれど、だからといってチームの一体感がなかった、という思いは、まったく、ない。
オフィスに毎日通勤して顔を合わせていれば一体感は醸成されるものなのだろうか?

この話をしていたら「自分で仕事をできる人はいいけど、入ったばっかりの若い人なんかは横に付いていて目の前でやって見せないと仕事を覚えられない」と言う人がいたけれど、これもなんか納得できない。僕には「誰かに仕事をつきっきりで教えてもらった記憶」もないし。今できている仕事は、自分で失敗して覚えてきたことばかりだし。

むしろ、オフィスに行かないといけなかった頃、
案出しをいろいろやって紙に書き出している最中に覗かれて「これはこうしなくっちゃダメだよ」と自分のその場の思いつきを上司に押し付けられた記憶とかw
集中して報告書とかを書いているときに「ちょっと」とか呼び出されて、その場でする必要のないくだらない話につきあわされてすっかり集中が切れちゃった記憶とか、
ろくな記憶がない。

みんな、実は働き方の本質的な合理化は望んでいないのかな。
せいぜい、コロナウイルスがあっても昨日と同じ今日、今日と同じ明日を生きていってください。

日本はまた「変わる」機会を失いそうだ 2020/05/19(火)

2020年4月7日に出された新型コロナウイルス感染拡大に伴う非常事態宣言は5月14日に東京都や大阪府を除く39県で解除された。
残る8都道府県に関しても「可能であれば宣言の期限を待つことなく、5月21日にも解除する」とした。
現在の状況では東京都はもう少し時間がかかりそうだけれど、程なく日本全国の非常事態宣言は解除されそうだ。
本日までの日本の新型コロナウイルスによる死亡者は768人。
「大騒ぎしたけど、結局大したことなかったね」と総括されるくらいの数である。
というのは、毎年やってくる季節性のインフルエンザでも毎年多くの人が亡くなっており、2018年には3,325人、2017年にも2,569人もの死亡者が出ているのである。
Flu_Japan_2012-2019
https://www.lab.toho-u.ac.jp/nurs/socio_epidemiology/blog/dqmvu90000000d2i.html
(平成30年人口動態統計. 上巻 死亡 第5-29表 をもとに東邦大学看護学部社会疫学研究室が作成)

つまり、新型コロナウイルスの死亡者よりも季節性のインフルエンザの方が多いのである。「確かに未知のウイルスで大騒ぎにはなったけど、季節性インフルエンザほどではなかった」とまとめられてしまう可能性が高い。

ヨーロッパやアメリカでは、こんな受け取り方はされず、このコロナウイルスの流行が終わったら生活様式や経済構造が全く変わる「ニュー・ノーマル」がやってくると言われている。たしかに、ニューヨークの病院には死体を格納する大型冷凍トレーラーが横付けされていたり、港には軍の病院船が係留されたり、という姿を目の当たりにしたら「これまでと同じ日常が戻ってくる」とは思えないだろう。

この自粛期間中に倒産する企業やその従業員には大変お気の毒だが、この期間に倒産してしまったのは十分な内部留保がなかった企業。日本の企業の内部留保総額は2018年度で463兆1308億円と言われており、めちゃくちゃ分厚い。
内部留保、7年連続で過去最大 18年度の法人企業統計【日本経済新聞】
ということは、コロナウイルスの感染拡大に伴って倒産してしまう企業は、そんなには多くはないはず。
ヨーロッパやアメリカでこんなに内部留保している会社はまれで、こんなに溜め込んでいると「資金の回転が悪い、投資せよ」と株主から要求されて、なにかに投資している。
ILOは2020年4月29日に「雇用喪失が拡大する中、世界の就業者の半数近くが瀕している生計手段を失う危険」があると声明を出しており、これに近い状況が起こりうる。

ヨーロッパやアメリカは「変わらざるを得ない」のである。
ところが日本は、新型コロナウイルスの感染拡大は、まぁまぁなんとか収めてしまった、これから第二波第三波も来るだろうけれど、これだけ第一波で大騒ぎしたので、役所も病院もノウハウを貯めていて、この先もまぁまぁなんとか収めちゃうんじゃないかと思う。

人間はギリギリまで追い詰められないとなかなか変われない。ヨーロッパやアメリカは追い詰められたから「変わらざるを得ない」。でも日本は、多分、大して変わらないね。変わる必要がないし、高齢化している人々にとっては生活様式を変える体力が、ない。

ここ何年かにも何度か「日本が変われるチャンス」があった。その最大のチャンスが東日本大震災後だった。この時日本が選んだのは「復興」じゃなくて「復旧」だった。名前こそ「復興」と言っているが精神は「復旧」である。震災直後には今回の被災地にはもう人は住まないようにして全部海浜公園にするのだ、というような大胆な計画もあったが、結局ほぼ元の場所で元の生活が送れるように、住んでいる場所からは海なんか見えなくなるような「スーパー防波堤」の方向になった。
経済にしても、生産体制や流通体制を見直す最高のチャンスだったのに、結局「復旧」してしまった。
今の東京を作ったのは、関東大震災後の「帝都復興院」であり、その総裁に就任した内務大臣・後藤新平だった。後藤は、震災を「理想的帝都建設のための絶好の機会」と捉え、東京の「復旧」ではなく「復興」を目指したのだ。
僕はこの頃後藤新平がこの時に行った施策や、抵抗勢力との接し方を勉強した。
でも、東日本大震災後にこういうことをやろうとする人物は、結局出てこなかった。
(参考サイト)
風景を変えた「関東大震災」都市計画史上初の区画整理が果たした東京復興事業【LIFE BATON】

2008年−2009年のリーマン・ショックの時にもチャンスはあった。ヨーロッパやアメリカはこの時に相当変わった。今使われている「ニュー・ノーマル」という言葉も、元はと言えばリーマン・ショック後にできた言葉だ。

アメリカの知識層が「ニュー・ノーマル」をどう捉えているのかよく分かる冊子がある。「MITテクノロジーレビュー」がまとめたeムック「New Normal 変わる生活」である。(pdfファイル)
20200519MIT_NewNormal

ヨーロッパやアメリカは変化して次のステージに行き、日本は「復旧」して元の暮らしに戻る。
世界中の「昔が大好き」な人がたまらない国になっていくね。

死後の楽しみというものもあるんだね 2020/03/10(火)

長野県松本市に住む父親が89歳を迎えた。まさか89歳まで生きると自分も僕ら家族も思っていなかった。長生きである。でも考えてみたら父の父、僕の祖父も100歳まで生きたのだから、家系が長生きなのかもしれない。


その父親から地元のコミュニティ紙「市民タイムス」の記事の切り抜きが送られてきた。オンラインにも同じ記事がある。


中山霊園の樹木墓地 松本市が生前受け付け開始へ 【市民タイムス】

20200310ShiminTimes

https://www.shimintimes.co.jp/news/2020/02/post-8628.php


松本市役所が、中山霊園の合葬墓の一つである「樹木墓地」の生前受け付けを始める、という記事である。
父としては「菅原家の墓もあるのだがこれは関西。自分が移住して大好きな松本のお墓に入りたいのだが、昔ながらの墓標のあるお墓じゃなくて、合葬墓、しかもモニュメントみたいなものもない、樹木墓地に入りたいのだが、息子はどう思うか?」と聞いてきたのである。


松本市のウェブサイトに行ってみた。

中山霊園樹木式埋蔵場所 【松本市のウェブサイト】

https://www.city.matsumoto.nagano.jp/smph/kurasi/tetuduki/sibou/boti/basyo.html


ここの樹木墓地は、1本の墓標とみなすシンボルツリー(シダレ桜)の周辺に焼骨を1体ずつ埋蔵するのだそうだ。良いではないか。

中山霊園は、松本市の高台の見晴らしの良い場所である。しかも、父親が松本市に移住する大きなポイントだった「大好きな常念岳が見える」のである。

僕の父親の部屋の窓からは正面に常念岳が見え、その左肩にちょこっと槍ヶ岳のアタマの部分が見えるのである。

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(父親の部屋から撮影)


こういうの、とってもいいと思うんだよね。

父親にはすぐに賛成だと伝えた。

死後の楽しみ、っていうのを生まれてはじめて考えた。


2020/02/09(日) はれ IoTはものすごい武器にもなりうる


家庭用の電化製品がどんどんインターネットにつながるようになってきている。大手で一番力を入れているのはシャープだ。
20200209Sharp01
https://cocoroplus.jp.sharp/products/

テレビはもとより、電子レンジから冷蔵庫、洗濯機に至るまでネットに接続する事ができるようになっており、他社も少しずつだけれど追随している。(例:パナソニック https://panasonic.jp/pss/

家電製品がネットにつながり、その都度ログが取れることは、メーカーにとっては重要な意味がある。
この洗濯機は週に何度くらい使われているのか、
設定は初期設定のまま使われているのか、
洗濯が終わったあともう一回脱水をする人はどのくらいいるのか、
乾燥機付きの機種であればどのくらいの頻度で乾燥機能を使っているのか、、、ということを、メーカーはリアル・タイムで知ることができる。

「洗濯」「乾燥」といった特定機能を印刷した物理ボタンを廃止してタッチ・パネルにすることができれば、ユーザーにもメリットが有る。メーカーからネット越しにファーム・ウエアをダンロードして書き換えることができれば、新たな機能がこのハードウエアに追加されたときに、これを使うことができるようになる。たとえば、全く新しい洗剤が発売されて洗濯時間やすすぎ時間をこれに合わせる必要が出たとき、これにすぐに対応することができる。最近は、すすぎが一回でいい洗剤とか「ジェルボール」のような新しい洗剤が時々発売されている。

電子レンジのような調理家電なら、料理の流行の変化に合わせることができる。流行が「ゆるふわ」から「外がカリッ、中はしっとり」に変わったら、それに合わせた調理法をダウンロードすることによって加熱時間や加熱法が変わったメニューを使うことができるようになる。

もちろん「オッケー、グーグル、電気を消して」っていうのも、ネットに照明機器がつながっていないと動作しない。

自動運転なんてIoTの最たるもので、あらゆる情報を瞬時にネットからインプットした上で自動運転は行われる。

これは、逆手に取るとIoTはものすごい武器にもなりうるのだ。
私があなたの家の照明をかってに点けたり消したりするくらいならまだ良いけど、
要人の乗った自動車を高速道路で制御不要にしてしまうこともできるし、巡航中の飛行機を落とすこともできてしまう。
いま、アメリカが5Gの交換機から中国企業を排除しようとやっきなのはこのポイントで、この先ネットにつながらざるを得ないさまざまな機器のリアル・タイム・データが万が一何を仕掛けてくるかわからない中国やロシアに漏れないように必死なのだ。

ネット上の私の行動がダダ漏れになってGoogleやFacebookが私のこと私以上に知っているのにはもう慣れきってしまって、どうでもいいや、と思ってきたけれど、これがハードウエアにも及ぶとすると、ちょっと次元が違うよね。
今年から順次5Gのサービスが始まるということで、私はそれを心待ちにしているけれど、セキュリティ強化のせいで全然便利にもならないのだとしたら、それも困るしね、だなんても思う。

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